今年の箱根駅伝で39年ぶりの完全優勝という偉業を果たした青山学院大学。その5区を走った主将・神野大地選手は三代目“山の神”と呼ばれ、2年連続の優勝に大きく貢献した。

 そんな大地選手には幼いころから慕い、愛する祖母の存在が。ストイックで人一倍、努力家の彼を愛知県の名古屋から見守ったのが、祖母の磯部安江さん。そんな安江さんにマル秘エピソードを聞いた。

 父親が少年野球の指導者だったので、小学生時代は大地選手も野球をやっていた。中学で陸上に転向し、青学では2年生のときに“花の2区”でデビュー。

 昨年は5区に転じ才能が開花。46秒差で前を走る選手を猛烈な勢いで追いかけ、あっという間に抜き去ると、ゴールでは逆に4分59秒の大差をつけていた。驚異的なタイムを出し三代目“山の神”と呼ばれるように。

 大地選手は夜10時15分までに就寝し、レースが近づくとお菓子類はいっさい食べない。そのひたむきな姿勢は、監督から“チームの模範生”と言われるほど。

「負けず嫌いなんですよ。それはきっと私ゆずり。私は車のナンバーも絶対に1番って決めています。ほかのナンバーは嫌いです。大地はそういったことはないんですけど、1番を取りに行くのは同じ。幼稚園の運動会にしても、1番をとることに関して根性を見せていましたね。身体は小さかったのに1番でした」

 ド根性と負けず嫌いは、場面を選ばず発揮される。大地選手がまだ幼いころ、地元にナゴヤドームが開場。野球観戦に出かけることになったが、母は中日ファンで父が巨人ファンだった。

「大地が“アーチャン、僕はどこ応援したらいいかな?”と聞くから、中日か巨人でいいんじゃない? と言うと嫌だと言うんです。飲み物のヤクルトが好きだったのでヤクルトにすれば? と言ったら“そうする!”と言ってヤクルトファンに(笑い)。パパに選手名を教えてもらって一生懸命応援していましたよ」

 2回目に観戦したときにも半端じゃない応援をしていた大地選手。そんな彼にヤクルトの応援団長の妻が来て、こう言った。

「“すみません、そちらのお子さん、うちで預かってもいいですか?”と言うんです(笑い)。応援すると決めると応援団長の奥様がスカウトするほどの応援をしちゃう子なんです。そういう面でも負けず嫌いなんですよね」

 学生最後の駅伝が終わり、4月からはコニカミノルタに入社することが決まっている。

「会社に来ていくスーツが欲しいと大地が言っていたので、卒業祝いではオーダーメードで特注する予定ですよ、ウフフフ。既製品は気に入らないので大地と一緒に作りに行く予定です」