休日などの息抜きに、散歩がてら街を散策し、気になる居酒屋にぶらりと入る――やってみたいけどなかなかできない、楽しめないという人いませんか。そんな「街歩き」ビギナーのために、『吉田類の酒場放浪記(BS-TBS)』などでお馴染みの吉田類さんに『“街歩き”を愉しむ5つの極意』を聞いてきました。類さんは全国津々浦々の街をさまよってきた、街歩きの達人。これまで身近だった街にも、新たな発見があるはずです!

一.まずは街の成り立ちを知るべし

 多くの人が関わり、いろんな変遷があって、今の「街」があります。その街の歴史を知っていると、散策は数倍も愉しくなる。散策の前に街の図書館に立ち寄って、地域の歴史を調べてからスタートするもおすすめです。古地図を手に入れ、「昔ここは川だったのか」、なんて在りし日に思いを馳せながら、今の姿と比べて歩くのもいいですね。

二.路地にこそ、その街の個性がある

 その街らしさを感じたいなら、大通りより脇道へ進路を変えるといい。迷ったり、行き止まりに突き当たったりするのも冒険です。きれいに整えられたメイン通りにはない、そこで暮らす人たちの“顔”が見えてくるはず。自分だけの「隠れ家」にしたい、好みの酒場やお店を発見してみましょう。

三.この街で暮らしている気分で歩く

 知らない街を歩く場合、特別な観光地やスポットではなく、ごくごく普通の商店街をのぞくのも愉しみのひとつ。まるで夕飯の材料でも買いに来たかの気分で、八百屋さんなどに入ってみるといい。店主と会話を交わしてみれば、地元の人しか知らない情報が飛び込んでくることも。そんな縁を大切にしたいものです。

四.好奇心を持って、景色を見直してみる

 東京に初めてきた人は、そびえ建つ高層ビル群に驚くといいます。ところが、数年も住んでいればそれは当たり前の風景となってしまう。それはパリだって、京都だって同じ。大切なのは、好奇心。ありふれた景色も少し角度を変えて見るだけで、新鮮な眺めになる。僕は「下町散歩は、海外旅行に行くよりも面白い」といつも感じています。

五.賢い靴選びで疲れしらず

 当たり前だが、散策には履き慣れた靴で出かけたいものです。ちなみに、僕はダナーのブーツを愛用。街歩きはもちろん、「そうだ、山に行こう」と思い立ったときも問題なく登山できるから。ポイントは、履き心地の軽さと、歩く衝撃を吸収してくれるクッションのよさ。もう少し歩こうという気分にさせてくれる相棒をみつけましょう。

 今度の週末にでも、類さんがおすすめする、5つの極意を試してみてはいかがでしょうか。まずは近所でもいいし、思い切って今まで行ってみたかった街に出かけてみるのもいいでしょう。ぶらりと歩いて、のどが渇いたら気ままに一杯。最後は、類さん気分でその街の人たちと「乾杯」してください。

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<プロフィール>

吉田類(Rui Yoshida)

高知県出身。イラストレーター、エッセイスト、俳人。BS-TBSの長寿番組「吉田類の酒場放浪記」でお馴染み。そのほか、ラジオや各メディアで幅広く活躍中。酒場と旅をテーマに執筆活動も続ける。

吉田類さんの新刊

『吉田類の散歩酒』(本体1300円+税)

ぶらりと街を散策し、のどが渇いたら一杯。街を肴に気ままに‶散歩酒″。新しい散歩のスタイルがココに誕生!! 今回、類さんに馴染み深い『吉祥寺』『深川界隈(門前仲町~森下)』『高尾山』を大特集。おすすめの酒場、街の歴史や見どころを紹介しています。