極限状態の旅を敢行する旅人や、スラム・裏社会といった危ない場所を取材する旅人、普通の人は訪れないような奇怪な場所に足を踏み入れる旅人などなど、クレイジーな情熱を持って世界や日本を巡る人々の姿を追う『クレイジージャーニー』(TBS系・木曜23:53~)。過激な内容にもかかわらず放送開始から1年が経過、今年1月にはDVDまで発売し、早くも14000枚を突破するなど、その魅力はじわじわと広がり続けている。

 今やテレビを見なくなったテレビっ子からも、「クレイジージャーニーだけは欠かさず見る!」という声が聞こえてくるほど名番組の呼び声も高い同番組。演出を手掛ける横井雄一郎氏に“なぜここまで攻める番組ができるのか?”を伺ってみた。

「僕自身、かつてはバックパッカーでしたし、今も正月休みは海外に出かけてしまうほど旅が大好き。日本では考えられない文化や習慣を伝えるには、それを生業にしている人を追えばいいのではないか? という単純な旅好きの好奇心がきっかけでこの番組は誕生しました。意識してインパクトのある映像を見せようとしているわけではなく、クレイジーな情熱を持つジャーニーたちを追った結果、たまたま非日常的な映像を収めることができているだけなんです」(横井氏、以下同)

 とは言え、放送される回によっては、当たり前のように、麻薬が登場する、吐しゃ物はモザイクなしで映される、荒んだ人々の生活が映し出される……など、明らかに他の旅番組とは一線を画す内容だ。規制が厳しいと言われる現在のテレビ業界において、ここまで放送できるのはなぜなのか?

「放送してはいけないだろうという判断は、あくまで日本という場所での見方や価値観に基づいたものに過ぎない。映し出されているものが、現地を取り巻く環境やそこに暮らす人々にとって、“本当にいけないものなのか?”という議論の余地があって然るべきだと思います。その判断は放送を見た視聴者がすればいい。旅を通じて学ぶコミュニケーションとはそういうものだと思うんです。その意図を上層部に伝えたところ、GOサインを出してくれる機会につながっています」

 また、包み隠さず放送することで、情報性としての側面が際立つと横井氏は言う。

「例えば登山家・竹内洋岳さんを追った回。8000m級の山を登るために、徐々に身体を高い標高に慣れさせていく“高度順応”を行わなければならないのですが、竹内さんが順応の過程で食べ物を戻してしまう映像を確認すると、“高所の山にいると吐しゃ物が通常の色と違う”という興味を持ってしまって。一つの事とクレイジーに向き合っている人たちは、我々では考えが及ばない世界を体験していて、その人を通じてでしか見えない情報がある。例え、それが吐しゃ物であっても包み隠さず伝えたいんですよね」

 放送開始から1年。徐々に評判が高まり、ついにはDVDを発売するまでに。正直なところ、ここまで番組が続くと予想できたのだろうか?

「僕も驚いています(笑い)。番組が続いていく中で、一つの事に打ち込む情熱を“クレイジー”と考えるように変化してきた背景があります。奇想天外な場所に行くことだけではなく、異国の地で情熱を持って挑戦する姿も一つのクレイジージャーニーだろうと。その結果、番組で扱うジャーニーの幅も広がり、カカオハンターなど放送回によっては女性の視聴者層にも好評をいただけるようになりました」

「ネタが尽きる心配はないか?」という質問に対して横井氏はこう答える。

「僕はジャーニーの人たちと打ち合わせをするときに“この人たちすげぇな”とつくづく思うんですよ。そう思える限り番組の本質は変わらない。裏を返せば、その気持ちが薄れていくということは、ネタが尽きてきたということ。そうなったらスパッと終わりなのかなと思います。溢れ出る感情をそのまま放出しているのが『クレイジージャーニー』です。ジャーニーたちの情熱の放出量が、この番組の原動力ですからね」

取材・文/我妻弘崇

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◆「恐怖と神秘の洞窟探検」(放送日:2015年5月14日) 国内外1000以上の洞窟を探検した「洞窟探検家・吉田勝次」が登場。彼は、ただ洞窟に入るだけでなく「人がまだ足を踏み入れていない、人類未踏の洞窟を探検する」という強い信念を持つ。当然、地図なしで洞窟内を進んで行くため、死にそうになることなど日常茶飯事。そんな探検の中で目にした、「地底に眠る神秘の絶景」「死ぬかと思った難所ワースト3」とは?
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≪DVD情報≫

■DVD『クレイジージャーニー』

松本人志&設楽統&小池栄子VSクレイジージャーニー。

独自の目線や強いこだわりを持って世界や日本を巡る「クレイジージャーニー」が常人離れした体験を語る!

DVDでは、放送できなかったVTR・スタジオトークともに未公開映像も収録!

DVD2枚組で破格の2,970円(税込) クレイジープライス!