kankobus0303-1

 2015年の訪日外国人観光客数は1973万7000人と過去最高を記録。小売店をはじめ、観光バス業界、ホテル業界などがうれしい悲鳴をあげる一方、「うるさい」「マナーが悪い」など困惑の声も……。

 爆買いを楽しむ中国人の姿も見慣れたものになってきたけれど、2020年東京五輪に向けて、まだまだ増え続ける外国人観光客と私たちはどう向き合っていけばいいのだろうか。笑顔で“おもてなし”をするために知っておきたい日本の“宿題”とは?

 日本の鉄道に不慣れな外国人観光客の“足”といえば観光バス。爆買いツアーの需要から、車両は増産体制に入っている。『三菱ふそう』広報部に話を聞いてみた。

「大型観光バスの販売実績は、'14年の約670台に対して、'15年は約810台と前年比120%になっています。大型バス全体(観光・路線含む)では、'14年に約1150台だったのが'15年は約1450台に。前年に比べ300台増えている状況です」

 いまや爆買いのメッカとなった銀座では、中国人などのアジア系観光客を乗せたバスがひっきりなしに行き交う。巨大免税店『ラオックス』前で、団体客を次々に乗降させている一方、三越前では“バスの駐停車はご遠慮ください”と書かれた札を持つ従業員が見張りをしている……。

 観光客らが買い物をしている間、バスはドアを開けたままハザードランプを点滅させて停車。運転手は運転席で所在なさげに待っている。

 この“爆バス”状態で、はたして運転手は足りているのだろうか。交通政策に詳しい早稲田大学の戸崎肇教授はこう解説する。

「運転手不足は外国人観光客が急増する以前から問題になっていました。発端は2000年の貸し切りバス事業の規制緩和です。これにより新規事業者の参入が相次ぎ、過当競争が激化。労働環境は途端に厳しくなりました。旅行会社がバス事業者に対して大幅なダンピングを要求するケースも蔓延し、安全を担保することができなくなりました」