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 感動の渦に包まれたフィギュアスケート世界選手権をもって、'15 ―'16年シーズン公式戦も閉幕。浅田真央の復帰や、宇野昌磨の躍動、羽生結弦が歴代最高点など激動のシーズンを識者に解説してもらった。

「シニアの大会はいつもテレビで見ていたので、その中に自分がいるのは不思議」

 昨年10月3日開催のジャパンオープンで、鮮烈なシニアデビューを果たした宇野昌磨。前年度世界選手権覇者のハビエル・フェルナンデス、大ベテランのパトリック・チャンを下して、日本を優勝に導いた。

「羽生選手とは違うタイプの、泥臭い子が出てきたな~って感じました。でも、小さな身体を目いっぱい使って、全身で表現しているところにグッとくる。羽生選手が失ったものを、まだ持っていそう」(ドラァグクイーンでフィギュアスケートファンのエスムラルダさん)

 宇野は、10月23日~25日まで行われたスケートアメリカでも2位につけるなど、今季その実力を発揮した。

 グランプリシリーズ第2戦のスケートカナダに登場し、世界中から熱視線を浴びたのはやっぱり羽生結弦

「正直、彼にとってシーズン初戦だったのに、“あれ? どうしちゃったのかな?”という演技でした。あまり先シーズンから変わっていないような印象を受けたんです。パトリック・チャン選手もそんなことを言っていましたよ」(フィギュア解説者の佐野稔さん)

 復帰初戦で羽生結弦を下したチャンのシーズン前の発言は、こう自信に満ちていた。

「ユヅルとハビエル(・フェルナンデス)のスケーティングは去年と変わらない」  エスムラルダさんも、この発言に納得。

「ビックリしました。チャンはすごく味わい深い演技になっていたの。昔は感情や情緒が酌めなかったけど、今回は魂を感じたわ。まるでアンドロイドが人間になったみたいに」

 この試合後の「チャンに負けて悔しい!」という羽生結弦の発言を佐野さんは、こう分析する。

「羽生選手に刺激を与えたのは、チャンだけでなく、中国のボゥヤン・ジン選手だと思います。彼は4回転ルッツジャンパーで、羽生選手が持っていない武器を持っている。自分ができないジャンプを跳ぶ選手がいることは、悔しいと思うんです」

 ほかの選手たちに火をつけられ、覚醒した羽生。11月27日~29日に行われたNHK杯に出場した際に、目を見張るような進化を遂げていた。

 夢の322.40点を叩き出したうえ、12月11日~13日に行われたグランプリファイナルでは330.43点と、さらに記録を更新したのだ。

「本当に血のにじむような努力を、繰り返してきました!」

 試合終了後には、こう声高にスピーチ。

「ふだんの彼らしくない、興奮ぎみの言葉でしたね(笑)。それだけ、満足のいく試合運びができたんだと思います」(佐野さん)