【タイムリー連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】週刊誌の報道で発覚した女優・堀北真希の妊娠。本来ならば祝福をもって迎えられるべき事柄であるが、本人が公式に発表する前の報道、ましてや安定期前の報道とあって、行き過ぎたマスコミの報道姿勢に違和感を覚えた方も多かったようだ。実際に夫・山本耕史も21日夜、自らのファンサイトで「意に反して報道された」と今回の報道について訴えかけている。こうした流れを受け、フィフィはマスコミが陥っている問題点について分析する。

婦人科に通うのは、とてもデリケートなこと

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マスコミに取材自粛を呼び掛けた市川海老蔵(左)と本人の意思に反して妊娠報道をされた堀北真希(右)

 先日の小林麻央さんに対する報道、そして今回、安定期に入るか入らないか微妙な時期での堀北真希さんの妊娠報道。さらには最近、騒動の渦中にある一般人の妊婦さんに直撃取材をするような写真週刊誌もあったと耳にしました。

 いずれも非常にセンシティブな事柄であるにも関わらず、ストーカーまがいのことをしてまでの見境のない報道には呆れると同時に、万が一何かあった場合を考えると、かなりリスクを追った取材をしているなと感じました。どう考えても、こういった取材の仕方は一線を超えています。

 そもそも婦人科に通うのは、必ずしもおめでたい話、妊娠したからだけではありません。不妊治療や病気でも通いますし、とてもデリケートなことなんです。

 タレントがこういったことを極秘にするのは、場所を特定されるのを避けたいという認識があるからだと思います。

 それはなぜか。当然のことですが、ほかの入院患者さんや通院している方々にも迷惑がかかってしまうからです。大きなビデオカメラを持った人がウロウロして怖いですし、もしかしたら、ミーハーな人が集まってきてストレスを感じさせてしまう可能性もあります。私もタレントのはしくれではありますが、なんとなく想像がつきます。

 海老蔵さんも先日の会見で「近所にご迷惑がかかる」と言っていましたし、私も同じような経験をしたことがありますが、まずはその周りにいる一般の方々に気を遣ってしまうんですよ。もしストレスをかけてしまうような事態になったら、結果的に自分たちがそこに居づらくなってしまいますし。

 もちろん、海老蔵さんも堀北さんも自分たちのプライベートが報道されてしまうことが、いわゆる「有名税」であるということは十分にわかっているとは思いますが、特に命に関わってくる病院の取材や報道はセンシティブになってしまうものなのです。

やじ馬心理を刺激し、視聴率稼ぎに走るマスコミ

 さて、人間の心理として、人のプライベートを覗きたいという気持ちはいつの時代にもあります。それはそういうものだから、見たい人はどうしても見ちゃいますし、それは仕方のないこと。

 だから、そういった心理を刺激するような記事を書いたり、それをもとにワイドショーや情報番組を構成して放送すれば、自ずと数字はとれてしまうんです。実際私自身にも、家のなかや家族といったプライベートのより踏み込んだところを公開しないかというオファーは頻繁にきてますしね。

 しかし、いくら数字がとれるからといって、モラルを持って歯止めをかけることなく、一線を超えた報道ばかりを繰り返していると、社会全体の倫理観の乱れを生み出してしまうんじゃないかな。

 特にテレビメディアは公共の電波を使ってまで、そういった記事をもとにワイドショーを放送する価値があるのでしょうか? 人びとのやじ馬精神を刺激し、瞬間的に視聴率を上げることはできるでしょう。しかしそこに何が残るのでしょうか。

 プライベートのデリケートな部分に土足で踏み込んだ報道をすることが、社会にどのように影響してしまうのか、悪い方向に導いてしまうのか。短絡的に数字だけを追うのではなく、マスコミはこうしたことにもきちんと目を向けなければならないと思います。

《構成・文/岸沙織》