【タイムリー連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】6月22日公示、7月10日投開票の第24回参議院議員通常選挙。7月14日告示、7月31日投開票の東京都知事選挙。相次ぐ選挙を前に、メディアも選挙色に染まりつつある。なかでも今回の選挙で注目されているのが、この参議院選から適用される18歳選挙権。より早く選挙権を持つことで社会の担い手であるという意識を若いうちから育もうとする意図があるという。しかし、年齢が引き下げられると同時に、若者に媚びようとする態度が目立ち、選挙そのものの質も引き下がったように感じるとフィフィはいう。

政治への向き合い方に違和感

fifinikoru20160708
民放各局が制作する選挙特番には、若者代表としてアイドルやバラエティタレントなどが多く起用されている

 今回の選挙から、新たに18歳と19歳が有権者に加わりましたけど、それにあわせるかのように、若者に媚びた選挙、若者にとっつきやすい選挙であろうする傾向が見受けられますよね。

 たとえば、10代の代表ということで、ある選挙特番に藤田ニコルさんを出演させるそうですが、物事には適材適所があるわけ。藤田さんはたしかに個性的な発言でバラエティ番組にも多く出演されているし、若者に人気のモデルさんかもしれない。だけど彼女の活躍すべき場所は選挙特番ではないでしょ。

 一方で、その若者の認識だって甘い。和歌山県内の大学生が、10代にも選挙に関心を持ってもらおうと、“初体験は、18の夏がいい。”“選挙童貞を卒業しよう。”といった刺激的なキャッチコピーのポスターを作成したという話もあります。それから、選挙フェスとかに群がっている若者たちも大丈夫かなぁと心配になってしまいます。

 こうした、とにかくキャッチーにして、ノリを良くして、若者に関心さえ持ってもらえればいいという姿勢、また若者自身のなかにも、そうした風潮に迎合する姿勢が随所に見受けられるけど、これは政治を軽いスタンスでとらえるよう促す態度だといえるよね。もちろん10代のなかには政治について真剣に考えている人たちもいるのに、ウケやノリを優先する風潮を積極的に作り出してしまっている。

ノリで投票するのならば投票しなくていい

 政治に向き合う姿勢として、大人たちが本当に作り出さなければならない風潮、子どもたちに教えなくてはならないのは、政治は真剣にこの国の未来を考える機会だということ、それが政治なんだということ。

 たとえとっつきにくくても、その本質を教えなきゃならない。もしそれで振り向いてくれないのなら、それでいいじゃない。軽いノリで、あるいは面白いからといって投票するのであれば、投票しないほうがマシ!

 こういうのって、本当は身体に悪いけど、子どもが泣き止むからといってジャンクフードを買い与え続け、結局子どもに悪影響を与えてしまっているのと一緒だよね。甘やかしてばっかりだと、負のスパイラルに陥っちゃう。

 1票というのは本来もっと重いものだし、政治を担うというのはそれだけ責任の重いこと。政治への認識が甘い人間が増えて、その投票数が増えてしまうのは、本当に怖いことだと思うよ。政治は真面目でいいのよ!

 教育はもちろん、立候補者も、それを擁立する政党も、報じるメディアも、キャッチーさばかりを求めるあまり、幼稚化しているよね。

 たとえば今回、都知事選の立候補を検討してる石田純一さんや、参院選に出馬中の今井絵里子さんを大きく取り上げるメディアが多いのも考えもの。もっと時間を割いて伝えるべきことは他にあるはず。

 知名度や話題性があれば、当選してしまうのは人気投票そのものです。そこでは本来、一番大切なはずの政策内容や本質的な力量が考慮されてないよね。これから日本人にとって大切な選挙が続きますが、政治に向き合う姿勢として緊張感とか、危機感をもっと持った方がいいと思います。アイドルの総選挙とはまったく違うわけですから。

《構成・文/岸沙織》