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 日本初の女性実業家をモデルにした朝ドラ『あさが来た』。どんな困難にも屈せず、明るく前を向き、そして開拓していくヒロインに、多くの女性が元気をもらっている。そこで、“日本で初めて●●を成し遂げた女性”を大紹介。

 今回は‘75年に『エベレスト日本女子登山隊』副隊長兼登攀隊長として、女性では世界初のエベレスト登頂に成功した田部井淳子さんにお話しを伺った。

 田部井さんがエベレストを目指した理由とは?

「“とにかく行きたい!!”と思ったからです。私の人生初の山登りは、小学校4年生のとき。担任の先生が連れていってくれた栃木県の那須岳でした。遅くても一歩一歩登れば、みんなと同じように頂上に立てた。“やった! 自分にもできた”という満足感」

 自分で行かない限り、絶対に見ることのできなかった景色だったと振り返る。

「“知らないことを知るって、こういうことなんだ!”と、本当に感動しました。それ以来、“知らないところに行ってみたい”という好奇心は、76歳になった今でも続いています」

 田部井さんが女性だけのチームでエベレストを目指した訳とは?

「女性と男性とでは、身体能力が絶対的に違うから。歩く速度も、走る速度も、登る速度も、山でハーケンを打つ力も。だから肉体的構造が同じ者同士で登ったほうが断然フェアなんです。“男に負けない”とか、“女で一番になろう”なんて気は全然なかったですね(笑い)」

 男女で登ると面倒な理由も。

「もちろん、男性と山に登って楽しいときもありますが……相手によりますね(笑い)。私が社会人の山岳会に紅一点で入ったら、“アイツとアイツはデキてる”なんて噂されました。私は純粋に山に登りたいだけだったのに、面倒くさくて」

 とはいえ、男女で登るメリットも。

「その後、別のグループに入ったら、たくさんの男性の中でも居心地がよくて。すごく先鋭的な岩登りをしていたので、厳しいルートにも連れていってもらえ、私の技術力は大幅にアップしましたね。さらに“次は女同士で登ってみろ”なんて言ってもらえました。結局、その男性次第なんです」