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 今年1月、長野県軽井沢町で乗客の大学生ら15人が死亡したスキーバス事故。ほぼ小型バスの運転経験しかない運転手による大型バスの運転に加え、旅行会社からバス会社への発注は規定価格を大幅に下回るなどずさんで、バス会社も事前に立てた運行計画に従わないルートを通らせた。

「法令違反がたくさんあり、起こるべくして起こった事故でした」

 そう語るのは、交通政策に詳しい大妻女子大学の戸崎肇教授。

「あの事故を受け、国土交通省は有識者による検討委員会を設置し、3月末に再発防止策の中間報告をまとめています。その内容は、ドライブレコーダー搭載の義務化、新たに採用した運転手への実車訓練の完全義務化などです。そして、今回、“やっと”厳罰化の方針が示されました」

 現制度で法令違反があった場合は、それを点数化し、バス会社に対する行政処分を決めている。そして、一定の累計点数に達すると、許可取り消しなどの厳重処分を受けている。

「それが、累計点数に関係なく、重大な死亡事故を起こした会社には許可を取り消せるようにします。そして、処分が正式決定するまでの間、全車両の運行は中止となります」(戸崎教授)

 これで“起こるべくして起きるバス事故”はなくなるのだろうか?

「もちろん悪い方向に行ってはいませんが、十分ではないと思います。やはり、全バス会社のチェックは不可能なので、ある程度、抜き打ち検査をしないといけないでしょうね。引っかかった場合は厳罰にする。いかに抑止効果を持たせられるかだと思います」(戸崎教授)

 では、私たちはどうやって安全なバスツアーを選べばいいのだろう?

「食べ物だったらあまりに安いものは“傷んでいるのでは?”“これを食べて大丈夫なのか?”と考えますよね。それと同じで、“この価格で本当にやっていけるの?”と思うほど安いツアーは疑ってみてください。安全は目に見えません。でも、安全は買うものなのです。そして、やっぱり大手として長年続けているバス会社やツアー会社は信用できると思います」(戸崎教授)

 一方、旅行ジャーナリストの村田和子さんは、日本バス協会による『貸切バス事業者安全評価認定制度 認定事業者一覧』というサイトでのチェックをすすめる。

「運行管理や車体の整備状況などをチェックした認定制度で、全国で769のバス事業者が認定を受けています(4月14日現在)。認定されると★、基準を2年継続すれば★★、さらにもう2年継続で★★★(最高評価)になるのですが、星の数はあまり気にしなくていいと思います。何より、自主的にこういう制度に登録しようと取り組む姿勢が評価できますよね。

 もし、旅行会社の自社バスではないツアーの場合は“どこのバス会社を使うんですか?”と聞いてみるといいでしょう」

 安全性を確かめたら、気になるのが快適さ。村田さんのおすすめは、設備が従来よりもワンランクアップした“ラグジュアリーバス”を利用したツアーだ。

「決して格安ではありませんが、バスツアーは概して移動時間が長いので、バス自体にこだわりを持って選ぶといいと思います。体力の消耗度が全然違いますよ!」

 例えば、はとバスの最新ラグジュアリーバス『ピアニシモⅢ』は、化粧室が車内にあり、各座席はゆったり広めで、電源もある。さらにドリンクサービスまでつくというから、まるで飛行機のファーストクラスのよう。

「ツアー内容もワンランク上です。格安バスツアーだとランチはドライブインや食べ放題が定番ですが、ラグジュアリーバスのツアーだと、予約が取りにくい人気店やホテルでランチがいただけます。宿泊の場合でも、ホテルや旅館はやはりワンランク上」(村田さん)

 バスは乗り換えもなく楽チン。申し込んで、集合場所にさえ行けば、あとはお任せ。その手軽さはまだGWの予定を立てていない人にうってつけかもしれない。

「ラグジュアリーバスのツアーはすごく人気なんです。母娘で参加している方も多いですよ」(村田さん)