NHKスペシャルの放送をきっかけに、広く知られるようになった『腸内フローラ』。最近は、テレビ番組や雑誌で『口内フローラ』『肌フローラ』が取り上げられ、目にすることが増えている。

「便秘は、腸が慢性の炎症を起こしている状態で、悪玉菌が増える環境です。改善するためには、腸を内側、外側の両方から鍛えるのがいちばん。内側は食事、外側はストレッチです」

 そう語るのは、日本で初めて便秘外来を設けた、順天堂大学医学部の小林弘幸教授。

 厚生労働省の平成25年度国民生活基礎調査の概況によると、便秘を訴える人は約470万人にのぼり、国民の約26人に1人になる。

 そうした状況も反映して、小林教授のもとには、子どもから90代の高齢者まで便秘に苦しんでいる患者が全国から訪れ、初診待ちは数か月にも及ぶ。

 これまで1万人以上を診察し、現在も1週間に約300人の患者を診ている数少ない専門医の改善方法は明快だ。

「うちに来る患者さんは、便秘に効くとされるありとあらゆる方法を試している方ばかり。そういう方たちに、いちばん効果があったのが、食物繊維のサプリ(ファイバープロ)と、乳酸菌のサプリ(ビビオ)です。食物繊維は1日20gの摂取が必要だが、レタス8個分は現実的には無理なので、食事療法には限界があります」

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 食べ物同様に、便秘に効くストレッチも多種多様だが、イラストの①体側のばし②前倒肛門ツイスト③骨盤まわしの3つを1日1回やれば大丈夫という。

 サプリメント&ストレッチは、早ければ1か月で効果があり外来患者の7~8割が改善している。実際に40年も便秘だったタレントの松本明子が受診し、この方法でよくなっているそう。

「あとは、姿勢をよくすることです。骨盤が下がった状態だと血流が悪くなって、腸が動かなくなります」

◎教えてくれたのは小林弘幸教授

 順天堂大学医学部附属順天堂医院総合診療科・病院管理学。東京都医師会理事。'87年、順天堂大学医学部卒業。'92年、同大学院医学研究科(小児外科)博士課程修了。同大学小児外科講師・助教授を歴任し、現職。