『爆報! THEフライデー』『ぴったんこカン・カン』『マツコの知らない世界』など、ここ最近、TBSのバラエティに勢いがある。視聴率10%を超えるラインナップをそろえるなか、とりわけバラエティ好事家から「面白い」と好評を得る番組が、3月16日にDVD第3弾を発売した『水曜日のダウンタウン』だ。

 同番組の演出を手掛ける藤井健太郎氏は、バラエティの規制が厳しくなるなかで、『クイズ☆タレント名鑑』『テベ・コンヒーロ』など、バラエティがバラエティ然としていた時代を想起させる“くだらなくて面白い”番組を輩出してきたことでも知られている。そんな業界内外から注目を集める気鋭のテレビマンに“番組を作る上で留意していること”について話を伺った――。

■温度感を見誤らないように

「バラエティの規制は厳しくなっていますが、エッジの効いた番組を作ってやろうとか、攻める番組を作ろうとか、そういう特別な気持ちはないです。ですが、自分が面白いと思ったものが、今の時代の温度感とマッチしているかどうかは考えています。世間が面白がっているものに、自分からすり寄ろうとは思いませんが、マッチするか否かは意識しています」(藤井氏、以下同)

 熱狂的支持を集めた『クイズ☆タレント名鑑』では、ヒントとして与えられたワードから芸能人を推測する「検索ワード連想クイズ」など名企画がいくつも誕生した。いまなお復活を望む声も多いが、藤井氏は「温度感を見誤らないように」と冷静だ。

「機会があれば……という思いはありますが、検索ワード連想クイズのようなものは厳しいでしょうね(苦笑)。世間の温度が放送当時と今とでは異なりますし、番組に対する視聴者の目も違うでしょう。時代観や規制の問題に関しては、どの局も同じ条件です。できる範囲の中で力を発揮することが重要だと思います。そういう意味では、おなじみのメンバーが集う『クイズ☆正解は一年後』はうまく機能しているかなぁと」

■自分自身が面白がれることの根本は変わらない

 現在手掛けている『水曜日のダウンタウン』と、過去に手掛けた番組。キャリアを積んで、演出方法に変化が生まれたことはなかったのだろうか?

「変わっていないと思います。バラエティを手掛ける際は自分の中では棲み分けがなく、僕が考えている面白いものの中から、その番組に適したものを取捨選択する感じです」

 その上で藤井氏は、「自分が面白がるものは、昔も今もそんなに変わっていない」とも言う。

「入社2年目のときに、“パブリックなものに対してどこまでOKか?”、例えば “ペット入店可のお店はどんなペットまで連れて入れるか?” などのネタをそろえた番組を作らせてもらいました。最終的にサルが犬を連れて入店するのですが、今でも普通にやりそうなオチだなって(笑)。

 僕はポイントを少しズラす手法が好きなんだと思います。僕が担当する番組内で松島トモ子さんや夏木ゆたかさんを登場させたのも、“このご時世に!?”というちょっとズレた感覚を面白がっているからでしょう。自分自身が面白がれることの根本は変わらないわけですから、そこはブレてはいけないだろうと」

■“笑い”に関しては、まだまだテレビは強い

 現在、TBSは『水曜日のダウンタウン』だけでなく『クレイジージャーニー』など、往年のパワーを感じる良質のバラエティ番組が集う。その源は何なのか?

「編成が頑張ってくれているおかげで、現場の風通しが良くなっていることは大きいかもしれません。確実なものを求められるよりも、ここ数年は内容を重視したものを作らせてもらえる機会が増えています。“視聴率よりも、とにかく面白さにこだわった大型の芸人企画を作ってくれ”と言われて企画した番組が、元日に放送した『芸人キャノンボール』でした。

 “笑い”に関しては、まだまだテレビは強いと思うんです。テレビとネットの融合とか、次世代のテレビ番組とか、いろいろ取りざたされていましたが、そういった風潮も一段落した感がある。今は、自分が関わっている番組の中身をいかに面白くするか……そういったことが面白い番組を視聴者に届かせるためにも必要なことだと思っています」

取材・文/我妻弘崇

DVD『水曜日のダウンタウン vol.3』(C)TBS/よしもとアール・アンド・シー
DVD『水曜日のダウンタウン vol.3』(C)TBS/よしもとアール・アンド・シー

■『水曜日のダウンタウン』番組情報

(TBS系毎週水曜21時57分〜、全国ネットは22時〜)

芸能人・有名人たちが自分だけが信じる“説”を独自の目線と切り口でプレゼン。その“説”についてVTRで…またはスタジオメンバーとのトークで…検証を行っていく番組。5月4日(水)の『水曜日のダウンタウン』は、◎バイきんぐ小峠の「『スシ食いねェ!』曲のテンポで歌詞通りに寿司食うの不可能説 第2弾」◎カンニング竹山の「相模が相撲になっていても気付かない説」◎小籔のみんなの説は…「アフリカ人なら、どの国のアフリカ人だか分かる説」「魚顔視野広い説」を検証!

※DVD『水曜日のダウンタウン vol.3』収録内容

・勝俣州和、ファン0人説

・勝俣州和の名前を漢字で書ける一般人、0人説

・勝俣州和の自伝が電車の網棚に置かれていても持って帰る人、0人説

・林家ペー、ピンクの服しか持っていない説

・ハマダー生存説

・浜田の似顔絵を描かせたら全員くちびるを強調する説

・「結果発表」のコールが日本一上手いのは浜田雅功説

発売元:TBS/よしもとアール・アンド・シー

販売元:よしもとアール・アンド・シー

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