きちんと距離感を意識してくれるファンが圧倒的に多い、と話す現役地下アイドルは、

ストーカー被害もないし、怖いと思ったこともないです」

 地下アイドルをマネージメントする事務所代表は、こう話す。

「個人的な連絡は禁止、ファンと話をするのは物販のときだけ。あとは、どれだけアイドル側が守っていけるかですね。地下アイドルは、普通の子との差が限りなく近い。アイドルになりたいのか、チヤホヤされたいだけなのか。意識の差が行動に出てくる」

ストーカーは“代理人”との関係を大切にする  

 ストーカー被害の相談などを受けるNPO法人ヒューマニティの小早川明子さんは、自身もストーカー被害に遭ったと語り、

「身の危険が迫っているなら、対策を講じるべきでした。ライブをやめる、誰かに付き添ってもらう、ボディガードを雇う。安全にはコストがかかります。今回、致命的だったのは、事務所に所属していなかったこと、防御システムがなかったことです」

 事件を防げなかった理由を鋭く指摘する。

「時計を返せと不満が出てきている段階で、対処することが必要でした。さらに状況を悪化させたのは、連絡のブロックです。反応をくれないことで、怒りの苦しみがいっぱいになる。そこで急に連絡を遮断されると、こんな気持ちをなぜ理解してくれないんだ、とさらに憎悪を募らせるんです」

 プレゼントの返却は、1度場を設け、そこにカウンセラーや弁護士など第三者に立ち会ってもらうことが大切だと、さらなるコツを話す。

「友達や親でなく短気でもなく心配性じゃない人がいいですね。1対1の関係は幻想であり、今後は連絡しません、と伝えます。そして“文句があれば、代理人へ”と窓口を設定する。ストーカーは直接本人と連絡がとれなくなると、代理人との関係を大切にします。唯一の接点を、自ら壊すことはしません」

 今回のような緊急的な状況の場合はどうしたらいいのか。

「刺激しないことですね。目の前に現れたとき、キャーと叫んだりすると、拒否されたと思い、攻撃を受ける可能性が高まります。凶器を振り上げたとき、“話を聞きます”と伝え難を逃れた人もいます」

 そして少しでも危険を感じたら、警察に相談すること。

ストーカーに不安を感じている、と強く訴えないと、一般相談として扱われてしまいます。怖いので実際に会って警告してください、とお願いしたほうがいい。遠慮してはいけません」(小早川さん)