■“心”や“誠意”という言葉を多用する人は危険

 ストーカーになりやすい人の特徴も教えてくれた。

「思い込みが激しい。自己愛が強い。小さいことにこだわる。孤独でストレスが強い。“心”や“誠意”といった雲をつかむような言葉を多用する人も危ないですね」

 岩埼容疑者は、ツイッターで、冨田さんにプレゼントした腕時計について《要らないのなら返して。それは僕の『心』だ》と表現していた。

 自分が好きな本を贈ることも、自分に共感してもらいたい、すごいことを考えているのねと言ってもらいたい。結局は自己愛の一部だと切り捨てる。ツイッターの文章などから岩埼容疑者の人間像について小早川さんは、こう分析を加える。

「繊細を演じる傲慢で図太い人間ですね。自分は繊細だと定義しているから被害者意識が強くなる。僕はこんなに弱く繊細な人間だよ、だからみんなが悪いんだって。その考えが図太いといえますよね」

 ストーカー規制法は2013年に改正され、メールの送受信もつきまとい行為に含まれるようになった。今回、問題になったSNSは規制対象外。

「SNSも規制対象に含めるべき。緊急の場合は、即禁止命令が出るような仕組みに変えるべきだと思っています。現状は、警告をしなければ、禁止命令を出せません。警告には罰則がない。ただ禁止命令を破った場合、即逮捕されます。自宅など周辺の徘徊も迷惑行為に入れてほしいですね。そしてなにより、罰則の強化です」

 小早川さんは、迅速なストーカー対策ができるような法整備を求める。今回の事件の被害者の冨田さんは、今も病院で、治療を受けている。前出のライブハウスのオーナーは、

「今回、ライブが終わった後に、ボイストレーナーやギターの講師を紹介しようと思っていたんですよ。透明感のあるいい声でね」

ストーカー被害を避けるには】

1・(恋愛の場合)出会いは慎重に。自分がつらいと思ったら早く別れを決断する

2・ 別れを決めたら準備を(貸し借りは清算。家族、友人、職場に相談しておく。いざというときの避難場所を決めておく)

3・衆人がいるところで別れたいと話す。2人だけにならないように

4・その後は連絡を絶ち、代理人を立てる(上司、教師、カウンセラー、弁護士など)

5・ブロックや着信拒否は危険だからやめる。メールやSNSなどの証拠は保存しておく

6・つきまといなどの嫌がらせを受けたら警察へ相談。警告をお願いする。警察に相談に行くときは「怖い」と訴える

7・相手に会う可能性がある危険な場所は避ける。通勤・通学でもひとり歩きはやめる

8・ストーカーと対峙した緊急時には刺激せず、「話を聞きます」と伝え応援を待つ