ところで、女性が増えたことでドラマ現場に与える影響はどのくらいあるのだろうか。

「女性スタッフが多いほうが男女の絡む場面、いわゆる“ベッドシーン”ですね。その場合に女性キャストは抵抗が少なく、自然と役に入りこんで撮影ができるんです」(テレビ局関係者)

 ドラマ撮影のロケ地は地方であることも少なくない。その場合にも、女性スタッフならではのエピソードが。

「小学生から高校生くらいの女性子役が出演するドラマの場合も、必ず女性スタッフを入れるようにしていますね。地方への撮影で宿泊する場合、親御さんもマネージャーさんも来ないことがあるんです。そのときは、ADやAPの女性が一緒の部屋でお世話しますね」(新井氏)

 女性子役と女性スタッフが同部屋になる意図はそれだけではない。

「思春期なので、年齢の近いスタッフがいたほうが、監督に言えない悩みなどを話したりしやすいんです」(新井氏)

 学園ドラマだと何十人もの年の近いキャストとうまく付き合っていかなければならない。その中で起こる問題などをスタッフに打ち明けたりすることもあるんだとか。

 女性キャストが多かったり、女性向けの作品では同性ならではの視点から見た利点も。

「女性同士だと台本が共感できるんです。例えば『私 結婚できない~』だと中谷美紀さんが演じる39歳の独身女性が主人公のドラマなので“こういうことあるよね”という演出を盛り込んだりしていますね」(新井氏)

 キャストとスタッフ陣の間で演出の共感度が高いと、信頼関係が強くなっていくことも多いんだとか。

「今作品でいうと、女性は、お酒の席で帰りたいときはひざの上にカバンを置いて帰りたいアピールをするというのがありました。そういう演出を提案してみると女性同士で“あるある!”となってリアリティーが増すんです」(新井氏)

■出産の1週間前まで現場にいたプロデューサーも

 ほかにも、女子会メンバーの中で“今度結婚する”という人がいたら次回の会からは、その人は呼ばれなくなる、という女性特有のしきたりなども生かされているそう。

 女性には出産という人生の大きな節目がある。子育ての時期がある中で、ドラマスタッフの仕事に戻ることは?

「あります。監督として戻った方は私の周りではいないのですが、プロデューサーとして現場復帰された方はいます。プロデューサーは常に現場にいなきゃいけないわけではないので、出産されてから現場復帰しやすいのだと思います。

 出産する1週間前まで現場にいらっしゃったプロデューサーも過去にいました。女性が、監督として復帰できる時代が来るのも近いかもしれませんね」(新井氏)