saeki0710
冴木一馬氏

 夏の風物詩・花火大会の季節がやってきた。目の前で打ち上げられるキレイな花火を写真に残そうと、スマホで撮ろうと試みるも失敗……という経験をした人も多いのでは?

 そこで、花火を撮り続け30年の花火写真家・冴木一馬氏に、スマホで花火をキレイに撮る方法を教えてもらった。

「携帯やスマホで撮る場合、手を上げて撮る方が多いと思うのですが、それが間違い。手を上げている時点で、写真はブレてしまいます。花火を撮るには、まずはブレないようにするのが重要です」

 ブレないようにするために、冴木さんがおススメする方法とは?

「一眼レフカメラなどであれば、一脚や三脚で固定します。スマホなら体育座りをして、足の膝の上に固定してシャッターを押しましょう。人ごみで座れない場所であれば、一緒に行っている家族や友達の肩を借りて、肩に固定して撮らせてもらえば、ブレずにすみます。塀などがある場所であれば、塀に置くのもいいですね」

 ブレないように固定できれば、次は携帯やスマホの機能を駆使しよう。

「ほとんどのメーカーの携帯やスマホのカメラには、花火モードがついています。花火モードがないものでも、夜景モードが搭載されていると思います。花火モードも夜景モードも、スローシャッターにしている機能なので、同じものなんです。あとは、それで撮ってもらうだけ。この2点さえ注意してもらえれば、誰でもキレイに花火が撮れますよ」

 キレイに撮るテクニックを押さえても、構図がイマイチだとよい写真にはならない。

「写真を撮るには、少し引き気味に撮るのがポイントです。鑑賞だけなら、近いほど迫力があってよいのですが、写真を撮るには周囲の景色も入れたほうが、建物と花火の大きさも比較できるので、迫力が伝わりますね」

 また鑑賞する上でも注意したいポイントがあるという。

「気をつけるべき点は風上から見るということ。自分が風下にいると、自分の方に煙が来てしまい、見る上でも写真を撮る上でもキレイに見えません。花火大会で鑑賞する際、屋台やトイレへの行きやすさを優先してしまう人も多いと思いますが、よりキレイに見たいのであれば風上かどうかを確認しましょう」

冴木一馬

さえき・かずま ハナビスト。花火写真家、花火研究家。花火師の資格を持ち、2002年には世界の花火大会1000大会の撮影を達成。著書に『花火のふしぎ』(サイエンス・アイ新書)などがある。