ドラマ『家売るオンナ』(日本テレビ系 水曜夜10時~)で“人生最大の買い物”といわれるマイホームを売りまくるスーパー営業ウーマンを演じる北川景子。バラエティー出身のプロデューサーが手がけた、新たなヒロイン誕生にまつわる制作秘話とは。

■ドラマ企画のきっかけは“坂上忍、家を買う。”

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日本テレビ提供

 北川景子が結婚後初、日本テレビのドラマには『悪夢ちゃん』以来4年ぶりに主演する。舞台は4年後の東京五輪を控え、熾烈な住宅売買競争が繰り広げられる東京。

 北川演じる三軒家万智は、「私に売れない家はない」と豪語、がんがん家を売りまくる不動産屋のスーパー営業ウーマン。制作の経緯について小田玲奈プロデューサーはこう語る。

「スーパー医師やスーパー教師のように、スーパー不動産屋もヒロインになると思ったんです。以前、私は『有吉ゼミ』で“坂上忍、家を買う。”という企画に関わっていて、住宅購入にまつわるエピソードはとてもドラマチックでした。人生最大の買い物である家の購入は、人生に大きく関わります。その人の人生を預かる役割の不動産屋さんをヒロインにした作品ができたらと思い、2年ほど前に企画を出しました」

 大石静脚本による、明るいタッチで描きたいと思ったという。

「ヒロインは早い段階から凜とした雰囲気の北川さんを考えていました。当初は、お客様の人生を幸せにするために家を売る“頑張り屋さん”だったけれど、近ごろの甘ったれた日本人をブッ飛ばすような女性をという大石さんのアイデアで、“とんでもヒロイン”になりました(笑)。ミステリアスな要素も多いですが、すぐに謎が解き明かされ、また次の謎が現れるという展開になっています」

 万智は独自の哲学を持ち、家を売るためなら手段を選ばない。「落とす(家を売る)」と決めた客のプライベートや家族の問題に土足で踏み込んでいく。そして、寝る時間を削って売るための努力をする。

 万智を演じる北川は、プライベートではインドア派。幸せな結婚生活のおかげもあって、家にいるときがいちばん落ち着くそう。“とんでもヒロイン”の印象については、こう語っている。

「得体の知れないキャラクターでありながらも、興味深いなと思いました。無駄が嫌いだったり与えられた仕事はつべこべ言わずにやるというところは共感できました。大胆に振り切った作品なので、私自身も新しい挑戦になると思います」

 役作りのためロングヘアを20センチも切った。服装にもこだわり、営業スーツではなく、彼女ならではのファッションは、要チェック。

■カッコいい仲村トオルのダメ上司っぷりに注目

 撮影は、美術スタッフの苦労があるという。

「スタジオには、最大で4軒の家のセットが建っていたことがあります! 撮影終了時に記念に写真を撮ろうと思っていてもすぐに撤去され、違う家を建て始めたり」(小田P、以下同)

 物語にぴったりの立地条件の住宅を見つけると、鳥肌が立つことも。

「毎回ゾクッとするのは、万智がゲスト出演者の住宅購入者に“この家売ります”と言って紹介しているところですね。乱暴者のヒロインだけど、胸を打つセリフでゲストの心を動かすんです。オファーしたときは、北川さんのあまりの美しさとオーラでくらくらしたのですが、今は演技に魅了されています!」

 北川以外のキャスティングについては、

「若手営業マン役の工藤阿須加さんはまっすぐで、イメージにぴったり。課長役の仲村トオルさんは、すごくダメな課長役で、驚くと思います。カッコいいトオルさんにダメ男を演じてほしいというのは、大石さんの発案。

 トオルさん自身は、“自分の役者人生の中で3本の指に入る、身内に見てほしくない役”だとおっしゃっていました(笑)。

 女性の働く姿を描いた作品だけど、夏休みということもあり、難しいことは抜き! お子さんもゲラゲラ笑って見られます!」

■子どもたちに大人気! ブレイク必至の万智のセリフとは

 仕事を怠けたり客との交渉にためらう部下に、万智は“GO!”と命令する。毎回、何度か登場するこのセリフは、インパクト絶大で早くも子どもたちの間で大人気。

「万智の顔がドアップになって、部屋の中でも車の中でも風がゴオ~ッと吹きます。劇画っぽい感じで、物語の中でもここだけテンションがワンランク高くなっているんですよ。監督もノリノリで撮っているので、お楽しみに!」(小田P)