タイトな衣装で気が引き締まったのだろうか

 路上でチンピラと目が合うのは怖い。しかし、もっと怖いシチュエーションがある。

「バニーガールみたいな格好をした男がいた。目が合ったら車で逃げた」

 福岡県警にそんな110番通報が入ったのは7月1日の真っ昼間のことだった。黒いタンクトップに網タイツ、ハイヒールをはいたバニーガール男が同県太宰府市の空き家の敷地内に無断で入り込み、郵便ポストをゴソゴソと物色していた。

 警察官が現場に駆けつけたときには、バニーガール男は逃げたあと。しかし、目撃された車のナンバーなどから、住所、職業不詳の藤沢鉄也容疑者(34)が浮上し、同月14日、邸宅侵入と窃盗未遂の疑いで逮捕された。

 ちなみに人が住んでいる住宅だった場合、住居侵入になる。空き家だったため邸宅侵入となったが、罪であることに変わりはない。そして空き家である以上、金目のものなどあるはずがなかった。

「逮捕当初は"身に覚えがない"などと否認していた。その後、取り調べを進めていくと犯行をほのめかす供述を始めた」(捜査関係者)

 藤沢容疑者には印象深い前科があった。

 社会部記者によると、

「7年前の6月、同県飯塚市で会社員男性宅に侵入し、やはり窃盗未遂容疑で逮捕されています。帰宅した家主と鉢合わせし、何も盗らずに逃げた。問題は服装。女性用の黒い競泳水着と黒いタイツ、ピンク色のアームウォーマーなど珍妙ないでたちでした」

 このときは、現場近くの車中で着替えようとしていたところをすぐに発見された。車内からは『スパイダーマン』のような全身タイツのコスチュームも見つかった。

「当時、飯塚市の現場周辺では"スパイダーマンのような男が民家の敷地に不法侵入している"という不審者通報が相次いでいました。そして今回もまた、近くで発生した空き巣被害の現場でスパイダーマンが目撃されています。捜査当局は関連性を調べています」(前出の社会部記者)

 なぜ、身体にぴったり張りつくようなコスチュームで犯行におよぶのか。

「理由はわからない。バニーガール姿といっても、厳密には耳と尻尾はつけていなかった。白昼、奇妙なコスプレ男と遭遇して驚き、そう見えたのでしょう」(捜査関係者)

 バニーボーイ。そんな仕事があればうってつけかもしれないが、おそらく、そんな仕事はない。