及川眠子さんといえば、あの『残酷な天使のテーゼ』の作詞家です。社会現象にもなったアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のテーマ曲『残酷な天使~』は大ヒットし、及川さんに巨万の富と名声をもたらしました。

 そんな彼女が稼いだ大金のうち3億円が泡と消え、今や7千万円の借金を背負う身に。その原因が18歳年下のトルコ人男性、Eとの結婚です。一般人には想像もつかないスケールの金と愛、そして嘘に彩られた13年間の結婚生活を赤裸々に告白した衝撃の書が『破婚』です。

この結婚そのものがウケ狙いだった

おいかわ・ねこ 1960年、和歌山県生まれ。作詞家。'85年、三菱ミニカ・マスコットコンテスト最優秀賞受賞。和田加奈子『パッシング・スルー』でデビュー。代表曲は、Wink『愛が止まらない』『淋しい熱帯魚』、やしきたかじん『東京』、新世紀エヴァンゲリオン主題歌『残酷な天使のテーゼ』など多数。著書に『夢の印税生活者』『あした理想の自分になるルール』が。撮影/竹内摩耶

 いま、13年間の結婚生活を振り返ってどうですか?

「ひと言でいうと面白かった。だって終わったことだから。終わってなくて渦中にあったらつらかったり悲しかったりするんだろうけど。

 テレビでも話したんですけど、この結婚自体が、ウケ狙いというか、周囲がウケるだろうなと思った部分はありました。18歳年下のトルコ人と結婚、ですから(笑)。

 そうしたらもう、目論見どおり。というか、こちらが目論んだ以上のことをEはしでかしてくれたなあと(笑)。こうやって本のネタにもなってくれたし。男に3億貢いでバカな女だと言う人もいますが、それはそれで構いません」

 超年下夫となる男性Eさんと及川さんが出会ったのは旅先のイスタンブール。当時41歳の及川さんは、相手の強引なアプローチについほだされ、肉体関係をもちます。

「日本に恋人もいたし、毛深いのも好きじゃなかったし、何より面倒くさいことになるとは思ったんですけど、これも“名所見学”のひとつかな、という気持ちもあって(笑)」

 どこか非日常な感覚のまま始まった関係でしたが、航空券の支払いや日本に来るビザのための資金など、経済的な要求は最初からつきまとっていたと言います。

「騙されている。貢がされている。バカな女だ。いろんなことをいろんな人から言われました。このまま一緒にいるとずっと金を搾り取り続けられるんじゃないかという不安もあった。でも、彼と一緒にいると、ギャンブルみたいな緊張やひりひりした感じがあって、それが快感だったのかもしれません」

 及川さんと出会ったとき、女性体験もほとんどなかったというE。仕事でも恋でも自分のキャリアに及ばない年下の男を育て上げたいという野心が及川さんに芽生えたと言います。

「よく男が自分色に女を染めたいと願うでしょ。私もEを自分好みの理想の男に仕立てあげたいと思ったのね。日本に連れて来てからも、箸の上げ下ろし、敬語、ビジネス、対人関係、すべて私がイチから教えた。彼はいい生徒だったし、私は厳しい教師だったと思う」 

 及川さんの期待に応える一方、Eは事業のための資金を際限もなく要求してきます。旅行会社の設立、会社の運転資金、さらには、世界遺産地区のホテルの建築……。

「『エヴァ』関連で6億ぐらい入ってきたと思うけど、税金とトルコに大半が消えました。とにかく信じられないような嘘をついて金を引っ張るんです。トルコの会計士や経理担当もグルでした。毎日毎日、金の工面で電話が鳴って。“最後のお願いだから”と。私の口座は、常に2000万円以上の残高をキープしてたんですが、それが3万2千円になったときは、さすがに震えがきましたね」