古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第2回は山名宏和が担当します。

加藤諒 様

インパクトのある顔面とキャラクターで人気の加藤諒

 今回、僕が勝手に表彰するのは俳優の加藤諒さんである。

 一度見たら忘れることのできないインパクトある顔面と、本人は否定するがどう考えてもオネエとしか思えない話しぶりやしぐさの組み合わせが新鮮で、一躍テレビ界の人気者となった。

 10歳の時に子役としてデビューを果たしている加藤諒さんだが、広く知られるようになったのは2012年のドラマ『主に泣いてます』の小桃役でだろう。

 あれには驚いた。原作のマンガに出てくるキャラクターそのままだった。原作者の東村アキコさんは、どこかで彼の姿を見て、それを元に小桃というキャラを作ったんじゃないかと思うほど、よく似ていた。

 ほぼ同じ頃、実は僕も加藤諒さんと仕事をしていた。TVKなどのローカル局で地味にやっていた『押忍!ふんどし部』という舞台を原作にした連ドラである。

 男前の若手俳優たちが白いふんどし姿で歌い踊るこのドラマで、彼は2人の兄は美形なのに、どうして自分だけこんなにブサイクなのかと嘆く三男の役だった。

 いい意味でとんでもない作品なので、将来『徹子の部屋』にでも出演した時は、お宝映像としてぜひ流してほしいものである。

 連ドラは30分12本。原作の舞台は2時間程度。なので、オリジナルのシーンやエピソードを多数作らなければならなかった。そんなときにとても助けられたのが、加藤諒さんだった。

 まさにギャグマンガから抜けだしてきたようなビジュアル。男前な俳優たちの中にただいるだけでおかしい。ここは笑いが足りないと思うたびに彼に頼った。おかげで原作では端役だった彼の役は、ドラマではかなりおいしい役どころに膨らんだ。

 最近、バラエティー番組の企画会議で、彼の名前がよくあがるのも同じような理由だろう。そこにいるだけで、すでになんとなくおかしいのだ。走ればおかしく、食べればおかしく、半べそをかけばさらにおかしい。ディレクターにとってこんなに便利な存在はない。

 マンガやアニメの舞台化を「2.5次元」と称することがあるが、加藤諒さんは存在そのものが2.5次元なのだ。常にマンガの世界と現実の中間にいる。こんな芸能人はなかなかいない。

 そこで今回は勝手に「最優秀2.5次元俳優賞・ギャグ部門」を差し上げ、勝手に表彰いたします。

 12月の『パタリロ!』の舞台、楽しみです。特殊メイク無しでパタリロができるのは、あなたしかいません。

 ただ一つ気になっているのは、眉毛をどうするかということです。新境地を開くため、トレードマークの太眉を、原作に合わせて細く剃ってみるのもいいのではないでしょうか。

【プロフィール】
◎山名宏和(やまな・ひろかず)
古舘プロジェクト所属。『行列のできる法律相談所』『ダウンタウンDX』『世界何だコレ!?ミステリー』といったバラエティー番組から、『ガイアの夜明け』『未来世紀ジパング』といった経済番組まで、よく言えば幅広く、よく言わなければ節操なく、放送作家として活動中。