TPPが発効しなくても特区があれば…

「さらに恐ろしいのは、国家戦略特区がTPPのシミュレーションに使われてしまうことです」

 TPPでは、外国へ進出している企業が、外国の法律や規制によって当初予定していた利益を得られないとき、『ISDS条項』を使って外国政府を訴えることができる。

「ところが特区を制定して、そこで前もって規制緩和をやってしまえば、外国資本、つまりアメリカ企業からの批判をかわしやすい。もしTPPが発効できなかったとしても、特区であれば、アメリカ企業は規制に煩わされることなく自由な経済活動ができる。国家戦略特区は、そのための地ならしをしているというわけです」

 TPPの影に隠れて、あまり存在を知られていない国家戦略特区。そこで起きている現実に向き合わなければ、恐ろしい未来がやってくる。