「年金は実質的に約1%ずつ目減りしていくんです」

 アラフィフになると、そろそろ気になってくるのが老後資金。“たいした貯金もないけど大丈夫かな”と心配しつつ、“60歳からは年金も出るはず。なんとかなるよね”なんて自分に言い聞かせたりして……。

「うーん、みなさん、あまりにも自分の年金のことを知らなすぎる」

 と渋い顔をするのは、社会保険労務士の北村庄吾さん。夫婦の働き方や年代などによって、年金額は大きく違ってくるのだという。

 まず会社員の場合、国民年金+厚生年金という2階建ての年金がもらえる。職場によっては、企業年金がプラスで用意されているところも。一方、自営業者や専業主婦は国民年金のみ。

「現在、受け取れる年金は、国民年金に40年加入して、年額80万円くらい。厚生年金は、収入にもよりますが、40年加入して年額120万円くらい。会社員+専業主婦家庭なら、夫婦で合計280万円になりますが、自営業夫婦なら、160万円しかもらえません」(北村さん、以下同)

 おまけにこの金額、今後は実質的に目減りしていく予定だ。これまで年金額は、物価が上昇すればその割合に応じて増えていたが、'15年4月から『マクロ経済スライド制』が発動、物価の上昇分から約1%引いた率でしか年金額が上がらなくなったのだ。

年金は実質的に約1%ずつ目減りしていくんです」

 さらに忘れてはならないのが、年金をもらい始める年齢も徐々に引き上げられているということ。昭和36年4月2日以降に生まれた男性、昭和41年4月2日以降に生まれた女性は、65歳からの受給になる。

「少子高齢化の進行で、年金の支え手が今後はさらに減ります。1960年代は、高齢者1人を11人の現役世代が支えていましたが、今は1人を2.3人が支え、50年後は1.3人になる見込みです。年金制度の根幹が揺らいでいるわけで、さらなる受給開始年齢の引き上げが必要になってくるでしょう。'19年の年金制度見直しでは、受給開始年齢を67歳にする案が出てくるのではないかと私はにらんでいます」

 先細りの公的年金だけではあてにできそうにないため、「今後は自力で年金を用意する必要が出てきます」と厳しく見通す。

 まずは、次ページからの表を見て、自分たちはおよそいくら年金が受け取れるのか知り、どのくらいプラスアルファが必要か考えてみよう。