自分の意志でやっていると思わされる

 Aは取り調べに対し、「家族にばらすと脅され、逆らえなかった」と供述しているが、杉山容疑者とAの間にマインドコントロールはなかったのだろうか。

 そのあたりの心理事情に詳しい前出の紀藤弁護士は、

「今回の事案に関しては、マインドコントロールというよりも脅しの要素が強い。ただ、利益の分配もマインドコントロールと密接に関係しています。自分で稼いでいると本人が認識することで、当初は嫌々やっていたものが、自分の意志でやっていると思わされるようになるわけです」

 さらに疑問に感じるのは、歌舞伎町の路上に立ち、客を引いていた事実だという。

「ひとりじゃできないですよ。通常は必ず監視がつきますし、暴力団の縄張りを荒らすことになる。だからこそ、杉山容疑者の背後に誰かいるように感じますけどね」(紀藤弁護士)

 今年6月、警視庁保安課と築地署がAを売春防止法違反容疑で現行犯逮捕したのは、まさに歌舞伎町で客引きをしていたときだった。

 Aは起訴猶予になったが、取り調べで杉山容疑者の関与が浮上した。売春を強要した前述のような文言がLINEの履歴に残されていた。