家族の心構え「信頼がおける情報は何かを知ること」

 がんといえば最も身近な大病。近年は“死”の印象こそ薄れてきたものの、患者はもとより、家族にも大きな不安をもたらしてしまう。その点について、医療法人嘉健会思温病院院長で、薬局経営も手がける狭間研至医師は“3つの不安”を指摘する。

「1つ目は患者本人の病状や予後に関する不安、2つ目は今後の患者さんの治療に対する不安、3つ目は経済不安です。近年は特に“情報の洪水”に陥ることが多く、正しい情報の取捨選択が必要になります」(前出・狭間医師、以下同)

 というのも、どこの病院に行けばよいか、どんな薬を処方されたのかなど、気になることがあればすぐにインターネットで調べられるからだ。

「検索上位にヒットする情報が、必ずしも正しい情報ではないのです。ひどいものだと、残念ながら怪しげな商品を買うように誘導されてしまうことなどもあります」

 さらに、数多くの情報のなかで、ドクターショッピングが始まってしまうことも。

「例えば、がんの手術後、人工肛門の装着をすすめられたとします。それが嫌な人はセカンド・オピニオンを取りますよね。そこでも人工肛門を推されたら、別の病院、また別の病院……と、インターネットで検索して病院を変えていき、その間に手遅れになってしまうこともあります」

 そうならないための、家族の心構えはあるのか。

「まずは、情報に過敏になりすぎないこと。信頼がおける情報は、国立がん研究センターや都道府県規模のがんセンターになると思います。また、主治医との信頼関係も大切。知っておくべき情報は、どこの部位にできたがん細胞なのか、ステージは何期のものなのか、5年生存率は何%なのか、などです」