適量のシャンプーを手に取って、頭皮・頭髪の全体を泡立てます。そして頭皮を指のはらで、こめかみ辺りから洗っていきます。この時に、決して爪を立ててはいけません。濡れた状態の頭皮は傷つきやすいです。乾いた後、頭皮の乾燥につながります。もし、ネイルなどでデザインや長さ出しをしている方は、専用のシャンプーブラシを使用することをオススメします。マッサージのように頭皮を動かすことで、こするだけでは取り除くことのできない毛穴の奥の汚れを掻き出す効果もあります。

「上から下」に洗うは御法度

 このときの動作にも、ちょっと注意を払ったほうがいいでしょう。私が経営する美容室のお客や友人・知人などに話を聞くと、たいていの人は手や指、またはシャンプーブラシを「上から下」の方向で動かして頭を洗っています。

 一方で、望ましいのは逆です。「下から上」。頭頂部に向かっていきます。もちろん後頭部も同じように。なぜなら、地球には重力があるからです。年齢を重ねると、頭皮や顔はハリを失って下がり始めます。年齢を重ねるとともに、分け目が見えて、つむじなども分かれ始めます。これには肉体自身の老化はもちろんなのですが、少なからず重力によって、少しずつ引っ張られている側面もあるのです。頭皮のたるみによる、おでこのしわもそうです。

 余談ですが、こうした頭部の老化を自分で簡単にチェックできる方法は、耳の上の頭皮をつまめるかどうか。ここは重力に逆らえず一番初めに弛んでくる箇所です。

 そして最後に手をグーにし、下から上へ仕上げる。頭皮と顔は一枚の皮でつながっていて、この効果は汚れが取れるだけではなく、長年継続することでシワなど伸びると言われ、エイジング効果にもなり、血流の流れなどがよくなりリラックス効果や、抜け毛などの対策にもなります。

 そして、パソコンなどをよく使う方は耳の上をマッサージすると眼精疲労に効きストレスの軽減になるはずです。頭皮は臭いの元になるので男性の方はおろそかにしないでください。

 最後にシャンプー剤をすすぎます。どんなに高級で良質なシャンプー剤でも頭皮に残ってしまうのは良いことではありません。予洗いと同じく、指にお湯を伝え、頭皮に残ったシャンプーをしっかりと流していくことが大切です。

 トリートメントは適量を毛先中心に。しっかりと水気を切ると、トリートメントを薄めることなく塗布できます。両手の手のひらで毛束を挟み、ゆっくりなめしましょう。そうすることでキューティクルの方向を整えて、手の体温で浸透効果も上がります。

 ここまでできたら完璧です。普段の習慣になれば、まったく気にならずにシャンプーを楽しみながらでき、リラックス効果やエイジング効果に結びつくはずです。

 実は人によってシャンプーの相性があります。意外に思うかもしれませんが、ヘアースタイリストは1年中同じシャンプーを使いません。春から夏にかけては、だんだんと湿気を含み、夏は紫外線が強く、秋になると抜け毛の季節になり、冬になると暖房などからによる乾燥が始まるなど、季節によって条件は変化するからです。

 シャンプー剤選びはプロの手を借り、その季節によって変化する気候に合わせ、自分にあったシャンプーを選ぶのも必要不可欠です。


《著者プロフィール》毛利俊英(もうり・としひで)◎1972年千葉県生まれ。美容師/ヘアサロンtricca代表取締役。kakimoto armsを経て、2002年代官山にヘアサロンtriccaをオープン。美容室におけるトータルビューティーに早くから着目し、現在ヘアサロンの他、ネイル&アイラッシュサロンも代官山で展開中。2012年には、葉山の森戸海岸にトータルビューティーサロンをオープン。2014年までシュワルツコフのアンバサダーを務め、資生堂の商品開発やセミナー講師も務める。サロンワークを中心に、雑誌撮影、セミナーなど国内外で活動中。再現性と曲線を重視した、ライフスタイルに合った提案を得意とする。