歴史と愛着のある築地市場から引っ越したい理由は?

市場移転と土壌汚染をめぐる経緯

「石原慎太郎氏が1999年に都知事に初当選した約5か月後のこと。築地市場を視察して“古い、狭い、危ない”と渋い表情で感想を述べ、移転にカジを切った。就任以前に築地での再整備が中断されていた経緯があり、営業を続けながら再整備するのが難しい以上、移転やむなしという空気が醸成されていった。つまり、市場で働く人たちの立場からみれば、引っ越したいわけではなく、引っ越すしかないよな~と諦めたという言い方が近いだろう」

 と都政に詳しい全国紙社会部記者は振り返る。

 老朽化が進む築地市場について、現地での再整備計画が策定されたのは1988年だった。当時の知事は3選を果たした鈴木俊一氏(故人)。さらに青島幸男氏(故人)は工事をめぐってさまざまな問題が噴出中の'95年に就任し、翌'96年に再整備計画の見直しを決めた。どうして再整備できなかったのか。

「築地市場は23ヘクタールの敷地内に空きスペースがなく、ほかに4ヘクタール程度の作業スペースを確保しなければならない。しかし、都心の一等地だから隣接する空き地はない。首都直下型地震が心配される中、限られたスペースをやりくりしてちょこちょこ工事していった場合、工事期間は最低20年以上かかるという。その間、常に動線は変わるし、仮店舗で営業しているところがある。使い勝手が悪すぎる」(前出の記者)

 石原氏が「危ない」と言ってから17年。後継の猪瀬直樹氏、舛添要一氏がトップになっても豊洲移転の方向性は変わらなかった。