「立場上、ある意味ではロボットになることも必要だが、それだけであってはいけない」

「憲法上、直接の警告、指導はできないが、人に会う機会が多いので、そのつど問題を質問形式で取り上げ、(問題点に)気づいてもらうよう努めています」

 今から47年前、記者から「もう少し自分の意見を出したらどうか」という質問に、そう慎重に答えられた皇太子時代の陛下

 日本国憲法の第4条で、天皇は《国政に関する権能を有しない》と定められているとおりのご発言だったが、

「8月の『おことば』は、憲法や皇室典範に定められていない『生前退位』を望み、摂政の制度に否定的だったことから、“掟破り”の行為だったとも言われています」(皇室ジャーナリスト)

 それだけ、陛下が国民や政府に訴えたい内容が切実で、苦渋に満ちたものだったということだが、

「今の流れのままですと、何らかの方法でもう1度、天皇陛下のお気持ちが表明されるのではないかと心配しています。

 さらに、陛下のお気持ちが表明されるようなことになれば、皇室と内閣との関係がうまくいっていないことの証明になりますので、国民も心配するはずです」

 と懸念を示すのは、宮内庁に23年間勤務した皇室ジャーナリストの山下晋司さん。