「意図して殺したんじゃないと私は確信」

 逮捕から7日目の今月11日午前、容疑者と接見した男性から話を聞くことができた。

「部屋に入ってきた瞬間に顔を伏せて、涙と鼻水を流しながら“死んでしまった。自分だけ生き残ってしまった”って何度も何度も話すんです。近所の方にもご迷惑をおかけして本当に申し訳ない、あの家には戻れない。子どもたちに迷惑がかかったらどうしよう、と。

 たった15分ですから事件の真実はわかりませんが、意図して殺したんじゃないと私は確信しました」

 面会時間の最後に男性は、「みんな待っているから早く帰ってくるんやでと伝えました。そう言ったら、喜んでくれましてね。もう戻れないと思っていたみたいで」

 ご近所トラブルも皆無で、人柄も申し分ない評判の老夫婦が死を選ばなければならなかった現実。病苦の妻に容疑者も付き添って死のうとしたということなのか。

「年金生活やからね。病院に入退院を繰り返していたから、それも負担になったんちゃうかな。実際のところはわからんけどね。ただ、病気で苦しむ奥さんを見てるのがしんどかったんかもしれんな。本当にかわいそうとしか言えん」

 と近隣に住む男性。住民の間では、容疑者の減刑を願い署名を集め嘆願書を提出しようという動きもあるという。

 容疑者自宅の縁側では、夫婦で面倒を見ていた猫が2匹、幸せそうに寄り添って眠っていた。