脚本家・坂元裕二との出会いが転機に

高橋一生 撮影/伊藤和幸
すべての写真を見る

「『耳をすませば』がキッカケで俳優を続けられたらいいなと思うようになりました。声だけでの表現だったので、肉体を使って表現をしたいなって思って、今の事務所に入りました」

 '00年放送のドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)で演じた引きこもり役でインパクトを与えたが、その印象が強かったためか、似たような役が舞い込む時期が続いた。

「そういう印象をつけてしまったんでしょうね。それでしばらく、先に進まなかったんだと思います」

 そんな彼の転機となったのは、'14年に放送されたドラマ『Woman』(日本テレビ系)で演じたクールに見えて情に厚い、主人公の担当医役。

「別のキャラクターもできるんだと認知してもらえたのは、大きいと思います。脚本家の坂元裕二さんが、それまでの僕のイメージではない役を書いてくださって。この役に出会っていなければ、おじさんになっても悩んでいるような、ハムレットのようになっていたんじゃないですかね(笑)」

 坂元裕二脚本のドラマ『モザイクジャパン』(WOWOW)では変わり者のアダルトメーカー社長役を怪演。R-15作品で、過激なシーンも。

「どんな役を演じるときも、躊躇することはありません。自分の中で線引きを行っていないので、お話をいただいたら前向きに考えさせてもらいます。坂元さんはいろんな役を振ってくれるので、本当にありがたいです」

 ちなみに『いつ恋』も坂元脚本。そして昨年放送された『民王』(テレビ朝日系)で演じたドSながらどこか憎めない秘書・貝原茂平役が話題になり、女性ファンが急増中。

「最近、取材でそう言っていただくことが増えたんですが、インタビュアーの方が便宜上おっしゃっているだけなのかと(笑)。でも『民王』がキッカケで、たくさんの人に興味を持っていただけるようになったとは感じています。ある人に“『民王』以前、以降”と言われました(笑)」