「検診さえ受ければすぐわかるのに」

 自覚症状はなく、数年前にワクチン接種が積極的に行われたが、重大な副反応もあり、現在、厚生労働省は推奨していない。初期段階で見つけるには?

「検診しかありません。綿棒のようなもので子宮頸部の細胞を取るだけなので、痛みはほとんどありません」

 ところが、欧米の受診率が90%であるのに対し、日本ではたった20%。

検診さえ受ければすぐわかるし、治る。なのに、恥ずかしがって受診しない。これが現実です。がんが子宮頸部の周囲に広がると全摘出になり、妊娠ができなくなります。最近では頸部切除という、子宮を残す手術も増えてはきましたが」

 早期発見であれば、子宮の入り口を円錐形に切除するだけですみ、妊娠も可能。希良梨も現在は、結婚して2人の子どもがいるという。

 がんが小さければ小さいほど手術にかかる入院の日数も少なくてすみ、費用も保険適用の範囲で行うことができる。

 予後は比較的よく、早期であれば9割の人が治るという。がんが広がった場合、子宮全摘出手術後の5年生存率は50%だ。

 性交渉経験がある女性なら、誰もが可能性のある子宮頸がん。コンドームを使ったら予防になる?

「なりません。性交渉そのものが感染の原因だからです。性交渉がなくなって10年以上経過しても子宮頸がんにならなければ、その後はかからないでしょう」

<この先生に聞きました>
菊池義公先生
菊池がんクリニック院長。前・防衛医科大学校産科婦人科学講座主任教授。婦人科がんの治療と研究のスペシャリスト。特に、新しい分子標的薬による治療では、多くの成果を上げている。