介護者を支える団体をぜひ活用して

 追い詰められる前の今年9月、一明容疑者は前出の同級生に「福祉協議会と相談して、お母さんを施設に入れようと思う」と伝えていた。

「お母さんが拒否したんじゃないかな。お金のこともあるしこちらも強く言えなくてね」と、近隣男性。施設に入っていれば、悲劇は防げたかもしれない。

 介護者を支える団体に『認知症の人と家族の会』があると服部副理事長は話す。

「同じ経験をした人から、自分の経験に基づいたアドバイスをしてもらえる。何より苦しい気持ちを理解してもらえる。電話相談も行っていますし、全国各地に支部もありますから、ぜひ活用してほしい」

 内閣府が公表した2016年版の高齢者社会白書によれば、総人口に占める65歳以上の人口は26・7%。4人に1人が高齢者だ。2060年には2・5人に1人が高齢者と推定されている。確実に押し寄せる高齢化社会の波。今後の人口推移を考えれば、介護殺人が減少していくとは楽観視できない。服部副理事長は、

「1人で抱え込まず、困ったらまず相談しましょう」

<介護の相談先>

公益社団法人 認知症の人と家族の会
電話相談:0120-294-456
(月~金10時~15時 ※祝日を除く)

公益財団法人 認知症予防財団
『認知症110番』:0120-654-874
(月・木10時~15時 ※祝日を除く)

NPO法人 介護者サポートネットワークセンター・アラジン
『心のオアシス電話』:03-5368-0747
(木曜日10時30分~15時 ※祝日を除く)