④肩書の多さに騙されてない?

 〇〇大学病院名誉教授、××センター長など、立派な肩書に患者は信頼を抱きやすい。肩書と腕のよさは比例するのだろうか。

私立大学の外科に関しては、技術がなければ上にいけない仕組み。手術件数や手術成績などの実績が問われるため、肩書とイコールの実力であることが多い。ただし、いくら肩書が立派でも年齢が60歳近くになれば、手先の器用さを失います。技術が最も輝くのは、失敗もそれなりに経験した40歳前後。この年齢で立派な肩書を持っている医師がベストですね」

 一方、国立大学の外科は論文をどれだけ書いたか、が教授選考で重視される。最近では手技を確認する風潮も出てきたというが、いまだに地方では“俺の後釜は彼でよろしく”という派閥人事や、“学長選で応援してくれたら教授にする”といったパワハラ人事が行われる病院もあるとか。

 残念ながら、国立大学の教授でも技術はイマイチ……なんて医師もいるので要注意!

⑤放射線診断医・病理医がいる病院へ

 診断の質を決める専門医が常勤でいるかどうかも病院選びのポイントだ。

「放射線診断医が常勤でいる病院では、CTやMRIなどの画像から読影レポートが作成され、それを主治医が確認するダブルチェック体制になります。複数人所属する病院もあれば、1人もいない病院もあるのでチェックしてください」

 同様に病理医の存在も重要だという。

「患者さんの細胞や組織を顕微鏡で観察しながら診断をするのが病理医の役目。この病理診断は、がんなどの治療をするうえでも欠かせません。というのも、がんは手術中に悪性か良性かを判断しながら進めなければいけない場合があり、院内に病理医がいることは大きな強みになるからです。

 また、麻酔科医が手術中に行う管理が予後のカギを握るという意味で、常勤の麻酔科医がいるかどうかも判断材料のひとつとして覚えておくといいですね」

⑥1人の名医より“チーム医療”で判断

 “手術のうまい名医”を軸にした病院選びは失敗しやすい、と小林先生。

「優秀な医師がいても、その力を生かしきれない病院があります。かつて名医だった人が、新しい病院に引き抜かれて以降、能力を発揮できなくなったという話を聞きました。原因は明らかで、周囲の優秀なスタッフのサポートがなくなったから。どんなに優秀な医師でも1人の力には限界がある。

 薬の飲み合わせについて“先生、それはまずいです”と指摘できる薬剤師や、しっかり食事を管理する栄養士の存在が重要です。治療の初期段階から、栄養士やリハビリ師が積極的に介入するような“チーム医療”のマインドを持つ病院にかかることで、総合力の高い医療を受けられる。これは命に関わる大きな病気であればあるほど重要だといえます」