設楽 悩みっていっぱいあると思うんですけど、いま出てこないってことはないのかな。でも、僕は常に怒りたくないし、感情を激しくしたくないんですよ。怒ると止まらなくなりそうで。

森山 『赤えんぴつ』みたいになっちゃうから(笑)。

設楽 そうなんですよ。僕ってちゃんとした人じゃないんで、やっぱりイライラしたりとかあるんですよね。「あそこでああ言ったけど、こうすればよかった」とか、ふとしたことでずっと考えちゃう。

本当に思っていることを隠しちゃう

バナナマン・設楽統 撮影/近藤陽介
バナナマン・設楽統 撮影/近藤陽介
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森山 あんまり口に出さないで我慢したり?

設楽 うん。あんまり言わないですね。基本、努力してることとか本当に思ってることを隠しちゃうんですよ。心の扉があるとしたら“ちょい開け”ですかね。なんか大胆に見せられないんです。逆に言うと、日村とか直太朗くんとか良子さんとか、ピュアで全開な人に憧れてるんですよね。

森山 でも、開いてるときもあるんでしょ?

設楽 ありますけど、わりと限られた人ですし。うわべの人付き合いはフルオープンに見えるけど、それは門扉みたいなもんで。自分の扉はかなりのロックが……。

森山 扉を開けないのは、幼少期の環境が影響してるの?

設楽 なんかバカにされたくないって卑屈な部分があるんだと思うんですよね。僕らは“東京芸人”ってひとくくりにされてるけど、自分は埼玉の田舎もんだし。今、テレビの仕事をしていても、周りのスタッフとかみんないい大学出てるのに、自分は高卒でバカだし。そこを見透かされないようにスンと澄ましていると、ごまかせるというか。

森山 え〜、ホントに? 私なんか留年して、高校4年も行ってるのよ(笑)。

設楽 でも、行ってる高校が名門校じゃないですか(笑)。だけど、モノを作ってる人って卑屈な部分があってモテないとか金がないとか、それをバネにするところから始めてるから卑屈を大事に持ってるというのもあるんですよね。

森山 それもこだわりかもね。一番大事なものは誰にも見せないで、大切に心に持って生きてきたんだから。設楽さんは早く結婚したでしょ。お子さんももう中学生で。いくつくらいで結婚したの?

設楽 結婚自体は25歳とか26歳ですけど、19歳から付き合ってたんでバナナマンを組むよりも前からですね。

森山 その落ち着いた感じも、世の女性は安心感があって素敵と思うのかもしれないわね。家族って、その人を支えてるバックグラウンドの宝物みたいに感じるのね。「ひとりぼっちじゃない。頑張ろう!」っていう力にもなるというか。すごく素敵なことだから、直太朗にも結婚して家族を持ってほしいと思うんだけど、最近では顔を見るたび「どう? どう?」って言っちゃって。やめようと思うんだけど、こらえられないの(笑)。