“押切方式”の落とし穴とは

 しかし、この「成果=自信」という押切方式には、落とし穴があります。成果を自信の根拠とすると、成果が出なかったり、自分を上回る成果を出す人が出てきたら、たちまち自信を失ってしまうのです。つまり、押切方式で得られる自信は一過性であって、結果的に自信をなくしやすい側面を持っているのです。

 成果は確実に自信をもたらしますが、周囲に評価されることも、自信をつけるために大事な要素です。成果がさほどなくても「よくできた」「がんばった」と声をかけられたら、自信がわくはずです。権威ある賞をとらなくても、特技がなくても、周囲(婚活女子の場合、成果や成長が求められる職場)に評価されれば自信はつきます。

 それでは、周囲に評価されるために、何をすべきか。まず、自分の存在を周囲に知ってもらうため、積極的なコミュニケーションを心掛けましょう。

 たとえば、仕事ができて人望もあると思う女性の先輩を見つけたら、「どうやったら先輩のようになれますか?」と素直にコツを聞いてみましょう。婚活世代がプライベートを大事にすることはよく知られていますが、会社の飲み会は自分を売り込む最大のチャンスです。毎回とは言わなくても、定期的に顔を出すことをおすすめします。

 あなたが仕事で何が得意で、何か不得手で、どんな人間かがわからなければ、周囲はアドバイスすることもほめることもできないのです。男女問わず、周囲の大人と話して、自分の理解者を作ること。実はこれが自信をつけるための、一番の近道なのです。

 多くの婚活女子が誤解していることですが、婚活は点数を多く取ったほうが勝ちの受験とは違います。一年にいっぺん、一万人を超える応募者から、たった一人のグランプリを選ぶオーディションでもありません。

 婚活は相手が求めるメリットを先読みし、準備した人が勝つ、“借り物競争”です。チャンスは何回でもあります。どうか安定した自信を身に着けて、婚活にのぞんでほしいと思います。

 メリットとは何か、どうしたらメリットを先読みできるかについては、次回お話したいと思います。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。自身のブログ、Twitterで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。2016年8月に男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)を上梓。