'16年の箱根駅伝で、堂々デビュー。エース区間“花の2区”で10位で襷を受け取ると、弾丸のような走りで7人抜き! 山梨学院大を一気に3位へ押し上げた1年生は、ケニアからの外国人留学生、ドミニク・ニャイロ選手だった。山梨学院大にとって22年ぶりとなる箱根制覇の鍵を握る、ニャイロ選手の素顔とは─。

☆  ☆  ☆

山梨学院大・ドミニク・ニャイロ選手

「ヨロシクお願いシマス」

 ちょっと恥ずかしそうに現れたニャイロ選手。まずは、日本に留学しようと思った理由を。

上田監督からのスカウトです。びっくりしました。父親も母親もびっくりしていましたが、“頑張ってみなさい”と送り出してくれました。来る前は、ちょっと不安でした」

 ニャイロ選手の故郷はケニア共和国。“キシイ族”という部族の出身だ。弟4人、妹1人の6人兄弟の1番上だそう。来日して、まだたったの1年半。片言ながら、一生懸命に日本語で話してくれる。

「日本語を聞いたり、話したりするのは、だいたい大丈夫。でも、書くのは難しいです」

 ちなみに、ニャイロという名前、響きがとってもかわいいと伝えると

よく言われます(笑)

 日本に来て、まず驚いたことは?

「食事です。日本は朝と昼と夜の3食。ケニアは2食。でも、慣れました。好きな食べ物はうなぎ。あと、お米。ケニアのお米より、日本のお米はおいしいです。嫌いな食べ物は……納豆(笑)。梅干しは最近食べられるようになりました。あと、大根も苦手です」

 自分自身の性格について質問すると、少し考え込んだ後に、

「優しいです。コミュニケーションをいっぱいとれます」

 と、ニッコリ。チーム内での評判は、“ちょっとシャイなところもあるけど、打ち解ければとても明るく、どんなチームメートとも仲よくやれるタイプ”だそう。実際、入部直後も、

みんなとすぐ仲よくなれました。みんな、“ニャイロ~!”と私の頭を触ってきます(笑)

 愛されキャラのよう。

 山梨学院大陸上競技部に入って、驚いたことを尋ねると、

「朝の時間が早くて。早起き、苦手です(笑)。寒さも苦手です(笑)」

 起床は毎朝5時10分。10~15kmのランニング後に朝食をとり、学生の本分・授業へ。ニャイロ選手は、現代ビジネス学部で、日本語や英語、そしてマーケティングなどを学んでいる。勉強と陸上競技の両立は、

「ちょっと大変」

 と苦笑い。授業後は、

「より実践向きな、ポイント練習です。ちょっとスピードを速くしたインターバルトレーニングなどを、だいたい16時30分から18時30分までやっています」

 名将・上田監督について尋ねると、

「リスペクトしています。ただ、ときどき、ちょっとだけ……怖い(笑)」