「うれしいけど、正直、大変なのはこれからだな」

 と喜びつつ気を引き締めた。

 稀勢の里が場所前に頻繁に訪れる小岩の寿司店『辰之鮨』の大将・中村和範さんは、

「9月場所のときは前日に来てくれたんだけど初戦で負けちゃって。ゲンが悪いと感じて来てくれなくなったらどうしようって思ったけど、その後も来てくれてよかった(笑)。ウチでは量は食べないよ。後輩を連れてきて、彼らにいっぱい食べさせてあげてるね。横綱の好物は茶碗蒸し。これだけは必ず2つ頼んでくれます。ウチに来たときは冗談を言ったり、よく笑ってますよ。素顔は本当に普通の30歳の若者です

 部屋からほど近く、稀勢の里も時折、訪れるという『小岩やぶそば』は優勝以降、部屋を訪れたファンたちが立ち寄る人気店となっている。

「ウチのお店ではおそばとご飯ものを頼まれますね。親子丼を頼むことも多いのですが、使っている鶏が茨城県の奥久慈産なので、郷土愛から注文していただいてるのかもしれません。小岩駅には元横綱栃錦の銅像がありますが、それに並ぶくらい、いや超えるくらい強くなってほしいです」(店主の新井啓介さん)

 寿司同様に、こちらでも食べる量はそれほど多くなく、意外にも小食らしい新横綱。

「すごい量を食べるというイメージはありませんね。ご飯ものとのセットといっても男性でしたら普通の量で、それほど多くはないですね(笑)」(前出・新井さん)

 生まれ育った茨城県の龍ケ崎市(中学2年生まで)や牛久市の商店街は、優勝記念セールを開催。牛久市にある洋品店では、女性の冬物衣料が全品半額に。後援会の面々との食事でよく利用するという中華料理店『甲子亭』は“稀勢の里の好物が食べられる店”として、優勝以降、電話が鳴りやまないほどの繁盛が続いている。

「来られたときは握手やサインに快く応じてくれる素敵な人です。学生時代のお友達とは今でも仲がいいみたいで、まったくのプライベートでいらっしゃったこともあります。よく頼まれるのはエビチリやタンタンメンですね」(店長の池辺昭子さん)