芸能界にねこ好きは数多いが、なかでも爆笑問題の田中裕二は有名だ。このたび満を持してエッセイ『と田中』(太田出版)を発表。ねこがどれほどかわいいか、ユーモアで包みながら思いの丈を綴っている。

 理科の先生だった祖父の影響で、幼いころから常に小さな生き物が身近にいる環境。自然と動物好きになっていたという田中が初めてねこを飼ったのは、大学に合格した直後。

「知り合いの家で生まれた4匹のうち、第一印象で“この子”と思って茶トラのオスをもらったんです。まだ小さくて、寝るときは一緒の布団に入るのだけど、つぶしてしまいそうで全然眠れませんでしたね」

 プル君と名付けられたこのねこに、田中はメロメロに。“ねこ不足”を感じると家に飛んで帰り、プル君のお腹や顔に口をつける“ねこ深呼吸”をして満たされた。やがて里親を探していたメスねこ、チーとネネに出会い、ねこ好き人生を一直線に歩んでいる。ねこのどこに魅かれるのか。

「あえて言えば正直なところ。僕は犬も好きですが、犬は頭がよくて主人に従う。でも、ねこは自分のしたいことしかやらない。だからこそ裏表なく純粋な感じ。お腹がすいたら寄ってきて、食べ終わったらツンとする。なのに、たまに少しやさしく近づいてきたり……これがたまらない

 そして、人間が驚くようなところに自分の居心地のいい場所を見つけだす能力も、そこで丸くなっている姿も「かわいい」という。実家でプル君が行方不明になり騒ぎになったが、タンスの引き出しの中で服に埋もれて寝ていたことがあったそうで、「タンスの裏側の隙間から入り込んだみたい。人間の気を引こうというのではなく、ただ狭くてフカフカで暖かいところが好きなだけ」と語る。

 そんな田中は、外を歩くとかなり頻繁にねこの姿をキャッチする。人と話しながら歩いていても、ふと気配を感じるそう。「ねこが好きそうな場所だと感じるから」と本人は謙遜するが、家族で近所を歩いていたときにも、その“能力”を発揮。田中だけが塀の間に入り込んでいくねこのおしりを見かけ、妻の山口もえがアキレたというエピソードを明かす。しかも、その翌日には道で同じねこと出会ってなでたそうで、動画まで披露してくれた。

日々がつまらないとか、悩んで行き詰まっている人は、だまされたと思ってねこを飼ってみて。ねこがかわいいことは保証できるし、ねこほど癒されるものはありません