1匹卒業が決まったら新しい保護ねこがやって来て、幸せな出会いを待つ。多くのねこは、3〜4か月ほどで卒業していくという。

「保護ねこは1匹1匹にバックストーリーがあるので、スタッフが一緒に遊んでいるお客様に語りかけることも多いです。目の前のねこがそんなつらい思いをしたと知るとリアリティーを感じて、保護ねこを理解するカギにもなります

 これまで譲渡したねこは300匹を超える。それぞれに、さまざまな思い出がある。

 例えば、ハンサムなこじろう。甘えん坊で、一緒にいるほかのねこを攻撃するクセがあった。近くに娘夫婦が暮らす高齢の女性の家にもらわれて、いまや24時間ベッタリ甘え、一緒に過ごしているとか。

 ねこの間で大人気、アイドル的存在だったメスねこのゆめ。譲渡を希望した人は、ストーカーのようにゆめを慕うソマリを「かわいそうだから」と一緒に連れ帰ったという。人が苦手で触ることができなかったソマリだが、いまでは里親にすっかりなついているそうだ。

 片方の前足がないものの、キャットタワーを勢いよく走り回れるほど元気だったチーコ。ココと2匹でもらわれていったが、「後日、会いに行ったら、よほど幸せすぎるのか、ちょっと太ってましたね(笑)」(河瀬さん)

 目が見えないねこを迎えたいと希望した人が、根気強くカフェに通ってコミュニケーションをとり続けたこともあった。

 スタッフさえ手を出せなかったのに、じきにふれあうことができ、晴れて里親になったという。

5年後に殺処分ゼロの“野望”を叶えたい

 スタッフは社員、アルバイト、外注先、ボランティアとさまざまだが、誰もがねこに一途な愛情を注ぎ、“首相”である河瀬さんを支えている。

野望は膨らんでいて、2022年2月22日に日本のねこの殺処分ゼロを目指すのが目標です

 ねこカフェに限らず、保護ねこの居場所をたくさん作りたい。

 例えばオフィスの喫煙室の一部屋をねこ部屋にするとか、高齢者施設や学校にねこ部屋を作って、みなさんで世話をするとか。実現できたら、ねこをセラピストとして派遣します。癒しになるし、健康にもいいですよ。

 ねこ好きだけではなく、関心のない人をどれだけ振り向かせるかがポイントなので、これからもみんながあっと驚くことを実現していきたいと思います」(河瀬さん)

 次々と新しいことにチャレンジする“ねこ共和国”の勢いは止まらない。

<ホームページ>
◎一般社団法人 ちよだニャンとなる会
http://www.chiyoda-nyan.org/

◎ネコリパブリック
http://www.neco-republic.jp