「友人と2人で、1日体験で入店したんです。友人はカッコよかったんですが、入ったのは小虎だけ。ボーッとしているし、人の話も聞かない。服もダサいし、よく入店できたなって思いましたね」

 周囲があきれるほどのホスト不適格者だったが、憎めないところもあったという。

 元同僚が続ける。

「着ていた服も先輩からのもらい物。先輩にキャバクラや飯に連れて行ってもらうなど、よく面倒見てもらってました。

 仕事中に居眠りしたり、お客さんの話もろくに聞かないで、ベロベロに酔っぱらうこともしばしばありました。女の子のフードを食べまくって、“ふざけんな、お前、もうつかなくていいから”ってキレられていましたね」

 山本容疑者が元同僚に語った身の上話によると、両親は蒸発し施設に入っていた、母親が亡くなり財産分与で30万円ほどもらったがキャバクラで散財した、バイクでひったくりをやろうとして強盗罪で捕まったことがある、など。不運もあるが、祖父が「お前は家族じゃない」と突き放す気持ちも無理はない。

 仕事はまったくできないうえに、金にルーズだった。

「服を買う金とか貸していたんですが、何度も取り立てないと返ってこないんです。

 パチンコで負けたときも1万円貸したんですが、あっちからは返さない。しつこく催促していたら1か月後にやっと返ってきましたよ」(元同僚)

このことからも、羽振りのいいホストとはほど遠い暮らしぶりとわかる。だが、金を工面する悪知恵だけは働いた。

「仕入れ先の酒店にひとりで行き、1本数万円以上もするオーパス・ワンっていうワインを店名義で購入し転売していたんです。発注量が多いので、バレますよ」(元同僚)

 金に困った山本容疑者は、昨年1月ごろからバーでも働くようになった。ホストクラブの客を連れてきたら、その売り上げの何%かをキックバックする、という取り決めだったが、成果は散々。