夫&子ども編~”メンタル文法”で家族の脳のスイッチをオン!

【Q】離れつつある夫との距離を縮めたいけど、どう動けばいいかわからない

【A】向かい合うのではなく横並びで関係改善を狙って

 脳は他者と同じ向きになることで、よりお互いに対して理解度が深くなる特質を持っている。つまり、対面で座るよりも横並びで座ったほうが関係性が向上するというわけ。例えば、デートでドライブに行くと2人の仲が縮まるというのは、科学的にも裏づけがある。新聞越しに会話をするだけで、おのずと夫婦の距離は離れていくため、新聞を広げている夫がいるなら横に座って、「このニュース、どうなるんだろうね?」と話すだけで脳は活性化する。共同作業をするなら、ぜひとも横並びでするのがオススメ♪

【Q】元気がない夫に言葉をかけにくい

【A】相手に届く言葉を選んで話しかけてみよう

 夫を変えるには、まずは自分自身がどんなパターンの会話をしているのかを客観視して、自分の言葉のパターンを変えてみて。「最近忙しいの?」と気を遣ったつもりでも、相手は※メンタル文法によって解釈を変換してしまいがち。夫をきちんと観察したうえで、事実に基づいた言葉をかけることで、お互いが認識しているキーワードがそろうようになる。例えば先入観を持って、「食欲がないの?」と言うのではなく、事実に基づいた「今日はおかわりしないのね?」のほうが夫との認識がそろうという具合。キーワードをそろえていけば、自分の言葉が意味を持つようになり、夫に届きやすくなるはず。

※メンタル文法とは?
 他人の話を聞いたとき、その人の一言一句を漏らさずに聞き取って理解しようとするのではなく、相手の話からキーワードを拾って、自分の中に用意してある文脈にあてはめて理解すること。「あなたはいつもそう言う!」と相手が言っているとき、自分は「いつもそんなことは言ってない」と思うことがあるはず。それは相手がメンタル文法で自分流に解釈しているから。

【Q】めんどくさがりの夫に継続的に家事を手伝わせるには?

【A】できないことを非難せず、コツを教えていって

「こうするとうまくできるよ」とコツを伝授することが大事。自分が家事教室の先生で相手が生徒だと思えば、できていないところを指摘する方法はとらないはず。相手がうまくできたときに「どんなふうにやってみたの?」と聞いて相手にしゃべらせると、相手はさらに上達しようと工夫するようになる。気をつけてほしいのは、間違っても自分の経験則に基づいた言葉で伝えないこと。相手に伝わらない言葉を使うと、脳はどうしていいかわからなくなり動けなくなってしまうだけなので逆効果。むしろ、何かを手伝ってくれたときに、夫からその行動をしたときのきっかけとなった言葉を引き出すことができれば効果てきめん。

【Q】ゴロゴロしている夫のだらしない行動をなんとかしたい

【A】小さな行動の変化ひとつずつを拾いあげて感謝してみて

 全く何もしないゴロゴロした夫に、「私の話をちゃんと聞いてほしい」とリクエストするのは、ステップとしてレベルが高すぎ! 相手の意識を変えるために大事なことは、小さなステップから始めること。ゴロゴロしていた夫が、「顔を上げて目を合わせた」ことはなんてことのないステップかもしれないけど、こういう行動を拾いあげていくことが大切。「最近、顔を見て話してくれるよね」と小さなことでも口にすることで、夫はうれしくなって“小さな成功”として認識していく。徐々に積み重ねていけば、最終的には奥さんが期待するところまで夫も行動してくれるようになるもの。

【Q】勉強や趣味への子どもの意欲をのばしたい!

【A】お気に入りの道具や肌触りのいい服、書きやすいペンなど、感触の力を借りて

 前述したメンタル文法を使うことに加え、子どもが好む感触の勉強道具などをそろえると効果的。あれこれ考えていても、触ることでパッと切り替わる脳の修正パワーを利用。家事をテキパキとこなす主婦がお気に入りの道具を持っていたり、野球選手がバットやグローブにこだわるのは、感触が行動と結びつくからこそ。子どもが取り組んでいる物事に必要な道具を、子どもが好む感触のものでそろえれば、脳の働きはググンとアップ!

<教えてくれたひと>
菅原洋平さん
すがわらようへい/作業療法士。ユークロニア代表。民間病院精神科を経て、国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事。現在、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で展開し、その活動はテレビや雑誌などでも注目を集める。『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法』(文響社)をはじめ著書多数。