写真はイメーイです

 子どもにとってお手本となる先生が犯したリアル“しくじり先生”事件簿。東京・江東区の小学教師は女児を裸にして「アキラ100%」のマネをさせて逮捕された。どうして先生はしくじったのか、その事件の背景を追った。

「アキラ100%の物まねをして」

 東京都江戸川区の区立小学校教諭、佐々木一幾被告(29)は受け持ちクラスの当時4年生だった女児(10)のズボンと下着を脱がせ、その様子をビデオカメラで撮影したという。事件発生は3月28日正午。春休み中の補習の教室で、他の児童を帰らせて被害女児と1対1の状況をつくりだしたとみられる。女児が母親に相談して発覚、警視庁小松川署が同日、強制わいせつ容疑で逮捕し、すでに起訴されている。

 アキラ100%は全裸で局部を銀のお盆で隠し、お盆をひっくり返すなどして股間が見えそうで見えないという下ネタで笑いを取る芸人だ。

「被告は2013年から同校に勤務しているが、犯行に類似した問題はなかった」

 と同区教委担当者は話す。

 佐々木被告はどのような人物なのだろうか。身長が高く、「ぽっちゃりしていて穏やかそうな雰囲気」(同級生の保護者)という。特に女子児童には人気があったようだ。

「イケメンじゃないけど優しい先生」と担任クラスにいたこともある5年生の女子児童は話す。放課後、女子児童に囲まれていたり、“ウィー”と挨拶をかわしたり。友達のように接することもあった。

 一方、男子児童にはきわめて不人気だった。

 5年生の男子児童Aくんは「女子には優しく男子には厳しい先生」と、きっぱり。

「先生が名前を呼ぶとき、女子は“さん”づけ。男子は呼び捨てか“おい”とか“お前”とか。俺たちが友達を呼び捨てにすると先生はすごく怒るくせに」と同級生の男子児童Bくんも語る。

 エコひいきが激しかったことは間違いなさそうだ。中には深刻な事例も。

 佐々木被告はケガをして保健室に行って授業に遅れた男児を激しく叱責。暴言や頭を叩くこともあった。ただし、女子に対してはないよう。

 つまり男子児童だけに体罰があったという。さらに……。

「友達の男子はプールに呼び出されて“死ね”って言われたらしい。僕も違うクラスなのに顔を合わせるたび厳しく言われたり、叩かれたことがある」

 とBくん。

 一時期は、佐々木被告からのたび重なる叱責に精神のバランスを崩し、登校拒否になりかけたという。「被害を受けた子がかわいそう。僕は今、先生がいないから安心して学校に行ける」と話した。

 なぜ、こんなデタラメな男が教師でいられたのか。ほかにも被害を打ち明けられずに苦しんでいる児童がいてもおかしくない。学校を訪ねると、

「何も答えられません。区の教育委員会に聞いてください」と、けんもほろろ。

 区教委は「余罪があったかはわからない。捜査を見守るしかない」と話す。実は事件発覚前から佐々木被告は女児らをターゲットにしていた可能性がある。

「体育のとき女子が着替えている教室に男は先生1人だけってことがあった。放課後には教室で女子児童を抱きかかえ、振り回す遊びをしていたのも見た」とAくんが証言。

 佐々木被告の家族に話を聞こうと自宅を訪ねたが、インターホンに反応はなかった。

 教員の立場を利用した犯行は卑劣で許されるものではない。アキラ100%のように「裸」で出直すことになりそうだ。