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 子どもにとってお手本となる先生が犯したリアル“しくじり先生”事件簿。どうして先生はしくじったのか、その事件の背景を追った。

 被害者は20代の男性と30代の女性の教諭カップルで、加害者は2人の交際に嫉妬する元同僚の男性教諭だった。

嫌がらせは昨年の秋口から始まったようです」と捜査関係者。当初、教諭カップルは気にしないようにしていたが、嫌がらせは少しずつ過激になり、今年2月25日。男性の車のボンネットに置かれたコルクボードには、

「受け取り方次第ですが “おめでとう” という2人を祝福するメッセージ、女性が男性の家に泊まっていることに対し “やりすぎ注意” といったことが書かれていました。3月3日には、女性宅ポストにコルクボードを撮影した画像が投函されています。これはまずいと思って女性が相談に来られました」

 と捜査関係者。そして3月19~20日にかけ、決定的な出来事が起こった。

「男性の車には、ビニール袋に入った未開封のコンドームが1箱。女性の車には、ワイパーとフロントガラスの間に袋に入った妊娠検査薬が挟まれていました」(捜査関係者)

 容疑者として浮上したのは、2人の交際を知る元同僚の千葉県立高校教諭(30)。3月30日、県迷惑防止条例違反で千葉県警子ども女性対策課と四街道署は教諭を逮捕した。

「“2人を別れさせたかった”と動機を話しています」と捜査関係者。逮捕直前の3月28日には、被害男性の駐車場を徘徊したり見張るなど、執拗なつきまとい行為をしていた。

 検察はストーカー規制法違反で、教諭を4月19日に略式起訴。千葉簡裁は罰金50万円の略式命令を出し、教諭は即日納付した。

 勤務先の高校の教頭は、

「こちらに勤務して1年でしたから、これからというときでした。実際私たちも何が起こったのかわからなくて……」

 と困惑ぎみ。生徒らも口を閉ざしたり動揺したりで、

「最初にニュースを見たときまさか、あの先生が? ってみんな驚いていました。数学の先生で授業もわかりやすかったし、ダジャレを挟んだりして、面白かったですね」

 と3年生の男子生徒。「何かの間違いだと思った」と話す別の男子生徒はアキレ顔で、

「でも事件の内容が小学生みたいですよね。女子の中には、やりそうだったとか、気持ち悪いとか話す人もいました」

 生徒が書き込んだSNSからは、《生徒思いの先生が無意味にあんなことするわけないだろ。ただ純粋に避妊の大切さと嫉妬の怖さを身をもって教えてくれたんだよ》《めっちゃ好きな先生で尊敬してたのに逮捕されてショック》

 などと意見がズラリ。

 千葉県教育委員会は、

「現在は有休を消化しながら自宅で待機しているようです。同じことが起こらないように、厳正に対処していきたい」

 本人から聞き取りをしたうえで、教育委員会で処分を決めるという。

 自宅では母親と思われる女性がインターホン越しに「すみませんが取材はお断りします」と消え入るような声。

 30代の被害女性に横恋慕をしていたのか、交際する元同僚カップルに嫉妬していたのか。罰金で決着したため、数学教諭の行為にどんな計算があったのか真相が法廷で明かされることはなかった。しかし、恋の行方は計算どおりにはいかなかったようだ。