神経科学者のカルダラス氏もこれに同意する。生徒たちがある本をiPadで読んでいるとき、生徒の1人がこっそりとマインクラフトにアプリを切り替えて遊んでいたことがあった。

 読書後、教師がiPadをしまうように伝えると、その男子生徒は「しまいたくない!」と叫んだそうだ。「その教師によると、『タブレットをしまうように生徒たちにいうと、いつも2人の生徒が困惑し、反抗する。驚くのは私がしまうように言ったときの彼らの怒り方で、1人は毎回のように憤怒する』という」(カルダラス氏)。

ハイテク機器の利用をやめてみたら

 過去の経験からブレナー氏は、2016年9月からスクリーンタイムを1週間に2~3時間から、3~4週間で2時間に制限した。これは、米小児科学会(AAP)が推奨する1日1時間以内より大幅に少ない。その後、子どもに大きな変化が起こったとブレナー氏は話す。彼女の子どもたちは外でほかの子どもたちを誘って、協力的に遊ぶようになったという。最も大きな変化は、子どもたちが主体的に動くようになり、簡単には飽きなくなったことだ。

 ハイテク機器の使用の中毒性や子どもへの影響については、まだ確固たる研究結果はなく、「ハイテク機器が子どもを無関心にさせたり、攻撃的にさせる」と結論づけることはできない。しかし、親は自分の子どもにこうした機器やサービスがどういう影響を与えているのか考えるべきだろう。

 米『ワイヤード』誌元編集長で、現在はロボット会社3DロボティクスのCEOであるクリス・アンダーソン氏は、自分の子どもにスクリーンタイム制限を設ける理由を、自らもテクノロジーの「危険さ」を目の当たりにしてきたからだと説明する。「自分の子どもには同じ事を経験してほしくないのだ」。

 自らの使い方を考えれば、いかにハイテク機器が「魅力的」かはわかるはずだ。自分と同じくらい、子どもが機器やサービスに触れることについてどう思うのか、1度考えてみてはどうだろうか。


<著者プロフィール>Inez Maubane Jones アイネズ・モーベーン・ジョーンズ
◎ライター、編集者(在シアトル)米ワシントン州シアトル在住。子ども向けの書籍「The Content」シリーズを手掛けるかたわら、自身のブログにて教育トレンドや子育て、社会問題などについて執筆している。