インスタグラムの投稿では、禁漁期間に素潜りで伊勢エビをとるなど密漁の疑いもある
インスタグラムの投稿では、禁漁期間に素潜りで伊勢エビをとるなど密漁の疑いもある
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 どんな男なのか。同級生らによると、藤井被告は地元の小・中学校を卒業。素行の悪い“要注意少年”だった。

「小学生のころから悪ガキで怖かった。県内の高校に進学し、街中でも平気でタバコを吸っていた」(同級生の女性)

最長で懲役30年

 建築業で働く父親の影響を受け、大工や塗装工など現場経験を重ねてサッシ業で起業。中小企業を扱う経済誌『月刊マスターズ』の今年2月号で、元プロボクサー・竹原慎二氏による経営者インタビューに独立の決意を語っている。

《父親の「いざとなれば助けてやる」という言葉に背中を押された》

 甘すぎる。一緒に仕事をしたことがある建築関係者によると、仕事に取り組む姿勢はまじめだったものの「私生活はチャラかった」と話す。

「クラブ通いしてDJをすることもあった。ギャル好きの遊び人で“酔っぱらうと(セックスを)ヤリたくなる”と話したり、人妻や彼氏持ちの女性を奪いたいという性癖があったみたい。陰で“気持ち悪い”などと悪口を言う人が結構いた」(同・関係者)

 常識がないのだろう。インスタグラムでは、禁漁中とみられる時期に伊勢エビや岩牡蠣を両手に《海よありがとう!》などとはしゃいでいた。

「夏場は上半身裸でよく缶コーヒーを飲んでいた。ゴミ捨てのマナーを守るように注意しに行ったら“おたくはどこのどなた?”と言い返されて怖かった」(近所の60代女性)

 女性にモテなかったわけではないようだ。知人には「今年中に入籍するかもしれない」と話していたという。

 実家を訪ねると玄関先に母親が出てきた。息子さんの犯行について……と取材意図を述べた途端、「そのことはちょっと、すいません」と青ざめた表情でドアを閉め、ガチャンと鍵をかけた。2度とインターホンに応答しなかった。

 犯行の立証は裁判と捜査の進展を待つほかない。一方で16日には性犯罪を厳罰化した改正刑法が成立したばかり。

 刑事法に詳しい甲南大学法科大学院の園田寿教授は「改正刑法は過去に発生した犯罪には適用されません」とした上で次のように話す。

「もし、強姦などを複数回行っていた場合は、併合罪加重といって最も重い罪の刑罰の上限1・5倍まで認められ、最長で懲役30年になります」

 改正前の刑法で強姦罪は3年以上20年以下の懲役。強制わいせつ罪は同6か月以上、10年以下と定められている。

 怒りと恐怖が交錯する住民の心情。藤井被告に帰る場所はあるだろうか。