見た目年齢を大きく左右するのが“ほうれい線”。メイクブラシを手に化粧品を使って目立たなくすることはできても、それは一時しのぎのもの。でも、ブラシの使い方次第で、お悩みを根本から解決できるんです!

たくさんのリガメントが表情筋を支えている

 小鼻の横から口元にかけてすーっと刻まれるだけで、見た目年齢がグンと老けてしまう“ほうれい線”。年齢にかかわらず、骨格や顔立ちによって若いころから悩んでいる方も少なくありません。

「モデルさんや女優さんに、ほうれい線をカバーするメイクを施しながらも、もっと根本的にほうれい線を目立たなくすることはできないだろうかと日々、自分なりに研究をしてきました」

 と語るのは、ヘアメイクアップアーティストの新見千晶さん。

 ご自身も若いころからほうれい線に悩んでいたそうで、これまで「ほうれい線に効く!」というさまざまな方法を試してきたとか。そんななか“頬のとあるポイントを自分なりの方法でほぐすと、ほうれい線がパッと薄くなる”ということを発見!

「専門家に尋ねたところ、そのポイントとは“リガメント”と呼ばれる部分。この“リガメント”がこり固まって弾力が低下すると、頬がたるみ、ほうれい線が深くなるのです」

 初めて耳にする方も多いであろう“リガメント”とは!?

リガメントは、皮膚と筋肉と骨をつなぐ貝柱のような組織のこと。目では見えませんし、指で触っても手ごたえを感じることはできませんが、実はコツさえつかめばとっても簡単に自分のリガメントを見つけることができるんです」

 ほうれい線にかかわる頬のリガメント以外にも、顔にはたくさんのリガメントがあり、顔の筋肉(=表情筋)を支えています。表情筋をほぐすとリガメントも一緒にほぐれるので、ふだんから顔のこりをほぐしておきましょう。

【顔の主なリガメント】眉(まぶたを支える。目元に影響)、こめかみ(目元や頬などを支える。顔の上半分、ほうれい線にも影響)、目の下の骨のライン(下まぶたを支える)、頬(頬を支える。ほうれい線の深さに影響)、口元(口角が下がるなど、口元のたるみにつながる)、耳下のエラ(フェイスラインのたるみにつながる)、下あご(口元や口角からあごにかけてのマリオネットラインに影響)など

 今回、新見さんが教えてくれるのは、リガメントの見つけ方とほぐし方。なんと、メイクブラシを使うのだそう!

「リガメントを見つけたら、お手持ちのメイクブラシの柄の部分を使って優しくほぐしましょう。指でほぐすよりも断然効率よく、ピンポイントでほぐすことができるんです。あっという間にほうれい線が浅く、目立たなくなります!」

 さらに、ほうれい線には乾燥やリンパの流れが滞ることによるむくみも大きく影響するのだとか。

「肌の乾燥によって、ほうれい線部分に小ジワができたり、むくみによって頬が厚ぼったくなっていると、さらにほうれい線が目立ってしまいます。しっかり保湿しながら、メイク前にできる簡単な体操を行うことで、ほうれい線の予防はもちろん、顔がすっきり若々しくなり、メイクののりもアップ。たった5分でできるので、ぜひ取り入れてみてください

【実践編 1】頬のリガメントの見つけ方

 顔には複数のリガメントがありますが、そのなかでもほうれい線に大きく影響しているのが頬骨のライン上にある“頬のリガメント”。

 頬のリガメントの位置は個人差があるので、まずは自分のリガメントを見つけるのが重要。頬の高くなっている部分(=頬骨)のライン上に頬のリガメントがあります。

 鏡を見ながら、中指の腹を頬骨にあてたら、こめかみに向かって指で斜め上に引き上げます。指の位置を頬骨のライン上で少しずつずらしていき、顔がピンとリフトアップして、ほうれい線が目立たなくなるポイントを探します。指の腹で斜め上に引き上げたとき、ほうれい線がすっと薄くなり、口角がキュッと引き上がるのが感じられたら、そこが頬のリガメント。

頬のリガメントの見つけ方

 頬骨のライン上のうち3~4か所ほどリフトアップする部分があるはずです。数か所あるうちの黒目の下あたりにあるリガメントは特にほうれい線に効果的な部分。念入りに探してみましょう。

【実践編 2】メイクブラシを使ってリガメントをほぐす!

 頬のリガメントをピンポイントでほぐすのに、ぜひ用意していただきたいのがメイクブラシ。柄の部分を使うので、アイシャドーブラシやコンシーラーブラシなど、ブラシの種類は問いませんが、凹凸がなく、直径5mmくらいのもので、先端が丸くなっているスティック状のものがおすすめです。メイクブラシなど、スティックの側面を小刻みに動かせば、肌に余計な負担をかけることなく、指よりも効果的にリガメントをほぐすことができます。

左から(1)頬のリガメントを小刻みにほぐす(2)小鼻のキワを斜めにほぐす(3)頬のリガメント全体を優しくほぐす

(1)頬のリガメントを小刻みにほぐす

 クリームなど保湿アイテムを塗っておきましょう。頬のリガメントのうち、黒目の下あたりにあるポイントにブラシの柄の側面をあて、小刻みに上下に15秒動かします。そのまま、外側から内側に向かって横に15秒ほぐします。鼻の穴が横に広がらないよう注意!

(2)小鼻のキワを斜めにほぐす

 小鼻のキワの凹んでいる部分はほうれい線の始点であり、この部分をほぐすことで、ほうれい線が目立ちにくくなります。ブラシの先端を小鼻のキワにあてたら、小鼻を押すように斜め上、真横、斜め下とさまざまな方向からもみほぐしてください。

(3)頬のリガメント全体を優しくほぐす

 手をギュッと握り、人さし指の第2関節を小鼻の横にあてたら、頬骨のラインに沿ってクルクルと動かします。頬骨のライン上にある頬のリガメントと周辺の筋肉全体を優しく15秒ほぐすことで、頬のたるみを予防できます。

『魔法の表情筋エステ&若見せメイク』(成美堂出版、1000円+税)“リガメント”に着目し、ほうれい線をはじめ、目元、フェイスラインなどの予防ケア法を紹介。※記事の中で画像をクリックするとamazonの紹介ページに移動します

<教えてくれたひと>
新見千晶さん◎女性ファッション誌、美容誌、CM、ショーなどで活躍するほか、多くの女優やタレント、モデルのヘアメイクを担当。著書に『ミーハー美容』(主婦の友社)、『魔法の表情筋エステ&若見せメイク』(成美堂出版)などがある。