和久井被告の自宅前には洗濯機が置かれ、不動産業者から撤去を要請する貼り紙が

「旦那を殺しちゃった」

 東京・北区。JR赤羽駅前の交番に微笑みながら“自首”してきた女の言動は支離滅裂で信憑性がないものと思われた。

 6月9〜10日にかけ都合3回、女は交番と警察署に“自首”したが、警察官は“妄想”と判断し、取り合ってもらえなかった。

 事件が明るみに出たのは翌11日。病院に入院した女が、夫が死んでいることを話すと、病院関係者が通報。同日夜に警察官がさいたま市内の自宅を訪れ遺体を発見した。

 その際の様子を、同じマンションの住人が覚えていた。

「夜の12時くらいに、警察とか不動産業者が来てね。毛布がかけられて手足を縛られた遺体で、頭と腹に殴られた痕があるって警察官が電話で報告していた。何日か前から家に帰ると、弁当が腐ったようなすごいにおいがしてさ」

 夫・和久井利夫さん(70)の死体を遺棄した疑いで先月15日に逮捕されたのは、妻の和久井絹子被告(53)。今月5日に起訴された。

 近隣住民が、夫婦の様子を明かす。

「旦那さんは大柄でガハハと豪快に笑う感じ。奥さんは小さくて無表情でした。よく2人で散歩していて、旦那さんは足が悪く引きずるような感じで歩いて、奥さんも腰が曲がっていてね。報道で年齢を知ったけど、とても53歳には見えない。頭も丸刈りで、不思議な印象でした」

 今年3月か4月ごろ近所を悩ませることがあった。

「毎晩のように救急車を呼んで、まるでタクシーがわりに使っていました」(近隣住民)

 夫婦が住む物件を扱う不動産関係者は、こう明かす。

「7~8年前から住んでいたと思います。毎月5日に、夫婦で家賃を払いに来てね。今年4月が更新だったのですが支払いがないので催促しましたら、奥さんが、5月には実家から100万円が入るとか、やっぱり入らないから退去するとか、夫が糖尿病で入院したので退院したら払うとか、二転三転。言動は支離滅裂で、それを旦那さんが保護しているという感じでしたね」

 生活に余裕がなく、同じマンションの住人から“お金がない”と妻が漏らす声を聞いたという証言もあった。

深夜の徘徊

「生活保護を受給しており、妻が夫に黙ってひとりで買い物に出かけたりしていたようです。お金をむやみに使うため、トラブルにつながったのかもしれない」(全国紙記者)

 夜遅く、あるいは真夜中に和久井被告がひとり、近所を出歩く姿も頻繁に目撃された。

「週に数回来ていました」と話すのはコンビニの店員だ。

「深夜に来て、数百円の買い物をして、店内をうろついてまた買い物をするんです。何日も風呂に入ってないようなにおいがして、丸刈りだったのでよく覚えています」

 駅前の居酒屋でも、同被告の姿が見かけられていた。

「深夜1時ごろに、よくひとりで来てましたよ」

 と同店店長が続ける。

「以前、何かを投げ込んで女子トイレを詰まらせたことがあって、大変な思いをしました。怖くてトラブルもごめんだから出禁にしたんですよ」

 出禁を知らずに入れたことがあるという女性店員は、

「最後に見たのは半年前です。お酒は飲まず、コーラとつまみを何品か頼んで、2〜3時間いましたね。トイレに入り30分ぐらい出てこないこともありました」

 犯罪心理学者で東京未来大学こども心理学部長の出口保行教授は被告の心理を、

「夫が高圧的であったのであれば、その不満がたまり爆発したのかもしれない。被告は非常に社会性が乏しかったように見受けられ、夫に保護してもらっている状況でもあったが、妻としては非常に不満だった。だから深夜に出歩き自由を満喫していたのでは」

 2人の間に何があったのか。真相の解明が待たれる。