北村匠海 撮影/佐藤靖彦

「あまり年相応に見られないんです。一緒に遊ぶのも年上の人が多くて、ご飯を食べに行っても“お前、まだ19歳かよ”って言われたり(笑)。写真を撮ることや絵を描くこと、何かを作る作業が好きなので、スタイリストさんやカメラマンさんとか、そういう人たちと話す時間が、今はすごく楽しいです」

 小学校3年生でスカウトされたことをきっかけに、芸能界デビュー。いちばん最初の仕事は車のCMで、当時のことを「わけもわからないまま始まって終わった」と振り返る北村匠海(19)が、7月28日に全国公開される『君の膵臓をたべたい』で映画初主演を飾る。

 これまでの出演作は映画、ドラマそれぞれ10本以上。役者のほかにも、5人組ボーイズバンド『DISH//』のリーダーとして、メインボーカルとギターを担当。

「実は、中学生のころに仕事をやめようかなと思った瞬間がありました。でもそこで、自分が“やめない”という選択をしたからこそ今があって、この作品に出会えたんだと思っています」

 正直な胸の内を話してくれた彼が、仕事を続けたいと思った転機は、

「ドラマ『鈴木先生』(2011年)で、同年代のみんな(土屋太鳳や松岡茉優など)とお芝居をしたことがすごく大きかったです。そこで共演したみんなとは、今でも連絡をとってますが、また現場で会いたいなって思うようになって。この仕事一本で頑張っていこうと気持ちが固まったのは、ここ2年くらいです」

 北村が演じた“僕”は、他人に興味がなく、いつも本を読んでいるクラスいち地味な図書委員。

「殻にこもってひとりの世界で生きていた中学時代の僕自身と、重なる部分が多くて演じやすかったです。逆に“これ自分じゃん”って共感ができすぎて(笑)、好きになるのが難しいほどでした」

北村匠海 撮影/佐藤靖彦

 クラスの人気者・山内桜良(浜辺美波)が患う膵臓の病気を、ひょんなことをきっかけに知ってしまった“僕”。家族以外で病気の事実を知る唯一の人物として、秘密を共有するうちに、桜良と過ごす時間が増えていく。

「よくしゃべって引っ張っていってくれるような子なんです、桜良は。僕は結構メンタルが強いほうではないので、そういう女の子のほうがいいですね。

 ただ、グイグイ来られすぎるのも引いちゃうので、そこのさじ加減は大切かな、って……(笑)」

 自分からアプローチはしない?

「できないですよ(笑)。自分でできることといえば、“連絡先を聞く”がマックスだと思います」

 意外(?)と奥手な素顔、またそこも可愛い! 女の子にキュンとするポイントって?

「キュンとするポイント、なんだろう。でも、僕のことに気づいてくれるとうれしい。“疲れてる?”とか“悩んでる?”って、声をかけてくれたり察してくれる人にはキュンとするかもしれないです。こういうことを言ってると、あんまり男らしくないなと自分でも思います(笑)」

 そんな部分も、包み隠さないところが素敵です♪ 映画の公開まであと少し!

「初主演という意味でもすごく大切ですし、昔から尊敬している小栗旬さんとまたご一緒できた特別な作品です。5年後、10年後にあらためて見ても、この映画に込められた意味の大切さに気づけるような気がしています。

 早くみなさんに見てほしい。見てくださった方たちの感想を聞くことが、今は本当に待ち遠しいです!」

北村匠海 撮影/佐藤靖彦

もっと北村匠海に迫るQ&A

 どんな高校生だった?

「わりと、おとなしい高校生だったかなと思います(笑)。でもその反面、同世代の友達と話しているときに“今の世の中は~……”って語りだしちゃうタイプ。ちょっと熱くなったら、話が長くなりがちです(笑)」

 今、“愛している”のは……?

「写真です。デジタルよりもフィルムで撮ることが好きで、被写体は友達が多いですね。最近は照明をちょっと勉強しています。写真って、カメラの設定では限度があるから、光の作り方で決まるんですよ」

 同じ“僕”を演じた小栗旬はどんな存在?

「出会いは映画『TAJOMARU』(2009年)で、僕は小学校高学年でした。そのときは僕が小栗さんの役の幼少期を演じて、今回は小栗さんが“僕”の12年後を演じてくださって。運命的なものを感じます。この映画でも、僕の成長を見せられたらいいなと思って臨んだ作品です」