探偵社の女社長は言う。「受ける以依頼の7割が“不倫・浮気”です」と。証拠を押さえて、依頼主に結果を渡すと、ほとんどの人たちが離婚を選択するという現実。だけど、本当にそれでいいのだろか。探偵社の女社長、そして『いい妻(オンナ)の愛されルール』(幻冬舎)の著者に聞く、離婚をとどまる方法とはーー。

探偵が受ける依頼は「浮気・不倫調査」が全体の7割(写真はイメージです)

                ◇    ◇    ◇

 探偵という仕事はほとんどの人にとってなじみがないものでしょう。小説やマンガに登場するような、クールでクレバーなイメージを持っている人も少なくありません。

 実際に「探偵になりたい」という人のなかにも、「テレビドラマで憧れて」「探偵がかっこいいと思いまして!」と言う人もいます。こうした人は、探偵社の中でも調査員になっていきます。経歴は多様ですが、張り込みや尾行などもあるので体力が必要。そのため、警察官や自衛官だった人も少なくありません。

 私が探偵に興味を持ったきっかけは、ポストに入っていた探偵社を紹介する一枚のチラシでした。「こうした仕事が本当にあるんだ!」という衝撃でした。「この仕事を始めよう!」となぜかそのときすごく大きなパワーが出てきました。そしてすぐに、探偵学校に入学し、そこでの学びを経て、実際に探偵社を立ち上げました。

 探偵社の業務の流れとしては、広告を出し、それを見た相談者から電話で依頼を受け、実際にお会いして、ご相談やカウンセリングを行います。その後、相談者の意向に基づいて、調査計画を立案します。そして、実際に調査をし、証拠をつかむなどしてその結果をご報告するのです。

 一般的な探偵社はここで終わり。しかし、私が考える探偵の仕事とは、相談者の悩みに寄り添い、「証拠などの事実をつかんだうえで、どうしたいか」を一緒に考えていくことだと考えています。

 離婚の準備だけでなく、相談者のメンタルケア、夫婦のやり直しの戦略立案のお手伝いなどを通して、ご相談者と探偵との二人三脚で問題解決に当たることを重視しているのです。

 探偵が受けるご依頼で最も多いのは「浮気・不倫調査」、実に7割にも及びます。続いて、「行方・所在調査」が2割、「信用調査」が1割ほどです。私が経営する探偵社にも毎日、多くの妻たちが夫の浮気相談に訪れますが、そのほとんどは、当初「もう離婚するしかないんです」と口にします。

「身内の死よりも悲しい」と切々と語っていた方、浮気を知ってから眠れなくなってしまった方……。みなさん、冷静な判断ができない精神状態であることが多いのです。それは、至極当然のことだと思います。

 信じていた夫に裏切られたのですから、ドン底まで落ち込むのも無理はありません。しかし、そんな精神状態だからこそ冷静さが必要だと思います。離婚をすれば「本当に自分の決断が正しかったのか」と振り返るタイミングが必ずくるものです。

「結婚」はやっぱり幸せなこと

『夫を夢中にさせる いい妻の愛されルール』岡田真弓著(幻冬舎)※記事の中の書影をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします

 これまで探偵業界では「夫の浮気の証拠を取って離婚への足掛かりをつくる」ということが当たり前のように行われてきました。しかし、私は妻たちと対話をしていくうちに、それが正しいことなのか疑問を抱くようになりました。

 浮気の証拠よりも「そこからどうしたいか」という妻の気持ちこそが大切だと考えています。みなさん、本音では「夫ともう一度やり直したい」と願っているのです。

 夫の浮気について相談すると、親や友人の多くが別れを勧めるでしょう。しかし、あなたの人生の主役は、あなた自身。どうするかを決めるのは、自分しかいません。

 もし、夫の浮気が発覚した場合は、まずは本当に自分が離婚を選択すべきかじっくり考えてみてください。少しでも夫への愛情が残っているならば、やり直しを模索してみるべきです。もちろん、生活や子どもが理由になっても構いません。

 私は相談に来られる方に「離婚は最後の切り札です」とお伝えしてします。その結果、私の探偵社を訪れた妻たちの、実に77%が夫とのやり直しを選択しました。みなさん、心のどこかで、やはり夫との幸せな結婚生活を取り戻したいと思っているものなのです。


岡田真弓(おかだ・まゆみ)◎探偵会社、株式会社MR代表取締役。東京都出身。前職では不動産会社の営業や飲食店経営に従事する。家庭問題による離婚を経験し「同じ境遇で悩んでいる女性たちの力になりたい」との思いを抱く。2003年、総合探偵社・株式会社MRを設立。2008年、MR探偵学校を開校し学長に就任。現在、注目の女社長として、様々なメディアに取り上げられている。MXテレビ『そこが知りたい!オトナの好奇心!』、ラジオ日本『岡田真弓の未来相談室』に出演中。2017年『一般社団法人ライフメンター協会』を立ち上げ、より多くの人々の悩みと向き合う。