左上は森泉・森星姉妹、下は祖母の森英恵。中央上は緒形敦、下は祖父の緒形拳。右上は樹木希林と孫の内田伽羅、右下は三國連太郎の息子の佐藤浩市と孫の寛一郎

「お父さんの直人さんというよりも、おじいちゃんのほうを意識しているように見えました。これから拳さんのような個性派になっていくのか、“この子はどんな役者になるのだろう”という期待を抱かせてくれましたね」(芸能レポーターの川内天子さん)

 10月15日にスタートしたTBS系ドラマ『陸王』で、俳優デビューを果たした緒形敦。そう、川内さんが言う“お父さん”“おじいちゃん”は、緒形直人緒形拳さんだ。

 そして敦と同い年の21歳で、9月公開の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に出演している寛一郎。こちらも祖父が三國連太郎さん、父が佐藤浩市という名優一家に生まれた3世だ。'13年4月の故人の告別式で、浩市の隣で遺影を抱えていたのが彼だった。

「長らく確執があったという連太郎さんと浩市ですが、雪解けのきっかけとなったのが寛一郎君の誕生だったといいます。そして彼が俳優として見いだされたのも連太郎さんの葬儀がきっかけだったそうです。デビューは定められていた運命だったのでしょう」(ワイドショースタッフ)

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を見たという川内さんも、寛一郎の所作に引かれたひとりのようだ。

「最初は誰なのかわからなかったんですよ。それでも、ほかの人たちよりもどこか目を引く存在感がありました。主役ではなくとも、きっちりとした存在感。遺伝子がつながれているというか、役者になるべくして、芸能界に入るべくして入ってきた、と」

総理大臣の孫が3人も

 名バイプレーヤーの樹木希林を祖母に、本木雅弘内田也哉子を両親にもつ内田伽羅は'11年の映画『奇跡』に11歳にして出演した。ところが'15年に映画『あん』に出演すると、ロンドンに渡った。

「何でも伽羅さんの女優デビューは、もとは樹木さんの意向が強く働いたみたいですね。それでも学業を優先させているところを見ると、教育熱心なモックンが説得したのかもしれません。ゆくゆくは英語を操る国際派女優でしょうか」(映画製作関係者)

 芸能界で活躍する3世は俳優や女優の孫だけではない。内閣総理大臣を「おじいちゃん」と呼ぶ、国民には信じがたいセレブ3世たちがいる。

 第74代内閣総理大臣・竹下登の孫で、ロック歌手ながらお茶の間をも和ませているDAIGOだ。昨年1月には北川景子と結婚し、「KSK(結婚してください)」のプロポーズも話題になった。

「普通なら妬まれやっかまれそうなものですが、好感度はますます上がっています。'15年の『24時間テレビ』(日本テレビ系)でチャリティーランナーを務めたように、彼がやる必要のないムチャぶりも快く受けてくれるため、制作サイドからの評判は高いですね」(広告代理店関係者)

 ほかにも第78代内閣総理大臣の宮澤喜一を祖父にもつ、

ハーフタレントの宮澤エマ奥田瑛二の妻で、女優の安藤サクラの母である安藤和津も、第29代内閣総理大臣を務めた犬養毅の孫娘だ。

 世界的なファッションデザイナー・森英恵の孫娘たちがご存じ、森泉森星姉妹。泉は19歳でモデルデビューしてパリ・コレにも出演。星は10代からパリの社交界パーティーに出席していたスーパーセレブだ。

「森姉妹もセレブであることを鼻にかけず、突拍子もない奔放な言動も個性として受け止められています。泉は最近も、カップ焼きそばにキャビアを添えた料理を紹介しては、番組を盛り上げていました」(テレビ誌編集者)

 そんな浮世離れしたセレブ3世たちを川内さんは、

「お坊ちゃま、お嬢ちゃま育ちで経済的苦労をしていないと思うんです。それに “おじいちゃんは総理大臣”“おばあちゃんは森英恵”と隠そうともしないですよね。偉ぶるわけでも謙虚すぎるわけでも謙遜しているわけでもない。自然体で普通にやっているから、見ている側もすっと受け入れられるんですね」

 父や母と比較されることを気にしがちで反抗心のある2世とは違い、3世という立場ならではの生活の余裕、心の余裕がおおらかな芸につながっているようだ。

神田沙也加も3世

 祖母に女優の旭輝子さんをもつ身でありながら、ほかの3世とは違った人生を歩んできたのが神田沙也加。父は言わずと知れた神田正輝、そして母は松田聖子だ。

「彼女の場合、どうしても聖子さん側の環境で育っているので、旭さんの影響は受けておらず、同じ3世でもここは勝手が違うのかなと。いちばん影響を与えたのはやっぱりいい意味でも悪い意味でも聖子さん。強烈なお母さんに翻弄されてしまったのが沙也加ですよ。“母みたいになりたくない”けれども、“憧れの存在ではある”と右往左往して、ようやく自分自身が認められたのです」(川内さん)

 母の畑とは違うミュージカルなどの舞台を主戦場としてきた沙也加を一躍ブレイクさせたのが、日本語吹き替えを担当した'14年の大ヒット映画『アナと雪の女王』だった。

「もし旭さんが近くにいたなら、また別の道を歩んでいたのかもしれません。それでも今の沙也加ができたのは、やはり聖子さんの影響があったからです」(川内さん)

 華麗なる3世といえども、やっぱり相応の努力があってこそなのだろう。