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 多くの人が利用しているアマゾン。最近、同社の配送を請け負う『デリバリープロバイダ』によるトラブルが続出している。クレームを入れてもおざなりな対応……。そんなお客さまを“不在”にしている実態を探ってみると──。

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《Amazonのデリバリープロバイダで発送された商品、到着予定日1週間経っても届かないし連絡もなし。ひどすぎ》

 欲しい商品をお手軽に注文できることから、今や大人気のアマゾン。しかし最近、ツイッターには配達をめぐる不満のつぶやきが続出している。

「そもそも、デリバリープロバイダとは、アマゾンと提携している地域限定の配送業者の総称です。これまでは、ヤマト運輸や日本郵便などの全国区の業者が商品を運んでいましたが、今年の春ごろからT.M.GやSBS即配サポート、札幌通運など地方の業者が『デリバリープロバイダ』として参入しました」(全国紙記者)

 これも、アマゾンの人気ゆえ。流通量の増加にともない、主要配送業者が仕事に追われて疲弊し、業務の見直しを始めたのだ。

 つまり、大手だけではカバーしきれない配送を請け負い、補うシステムというわけだが……。6月末ごろから、不満の声が目立ち始める。

「長時間待たされたり、なかなか届かないのでインターネットで荷物番号を追跡すると“ご不在のため持ち帰りました”と表示されたりするそうです。しかも、不在票も入っていないので再配達の依頼もできないことがあるようですね」(同・全国紙記者)

 週刊女性は、実際にデリバリープロバイダにひどい目に遭ったという女性から話を聞いた。

 都内に勤務するAさんは9月末に『お急ぎ便』で会社に届くよう注文したところ、配達されるのは10月1日になったという。当日、外出する時間帯があったため、アマゾンに電話すると“午後6時以降に到着するので大丈夫ですよ”と言われ、その時間に合わせて待っていたのだが……。

「まったく荷物は届かず、午後8時過ぎにネット上で配送状況を確認すると《配達済》になっていたんです。デリバリープロバイダのお客さま窓口の番号にも電話しましたが、何度かけても話し中。結局、1度もつながることはなく、午後9時には営業が終了してしまいました」(Aさん、以下同)

 アマゾンのお客さま窓口にも電話したが「こちらでは状況がわからない」とのこと。商品が届かない事態を想定してネットで返品手続きをし、別のところで注文した。ところがこの直後、信じられない展開が。

「午後10時過ぎ、私の会社と同じフロアにある撮影スタジオの人に声をかけられ“アマゾンの人に午後2時過ぎに押しつけられた”と、荷物を渡されたんです。その人は、撮影のためにスタジオに来ていた外部の人で荷物の受け取りを断ったのに、業者の人は再配達になるのが面倒なのか、無理やり預けてきたそうです」

連携不足で配送トラブルにつながる

 赤の他人に荷物を預けるなどありえないことだ。Aさんはアマゾンに再び電話して、詳しい説明を求めたところ、配送業者による回答としてこんなメールが。

《下記のお荷物の件ですが、お届け先が会社で17時までに指示があったようで、●●さんという方にお渡ししたようです。お客様にはご不便お掛けして申し訳ありませんでした》(●●以外、原文のまま)

 Aさんが質問した、配達時間の食い違いや他人に荷物を預けた判断への具体的な釈明はなし。納得できる回答を得るべく、もう1度、アマゾンに電話したのだが──。

「“あとはデリバリープロバイダとやりとりしてほしい”と言われ、業者の連絡先が送られてきました。それも会社のメールアドレスではなくて、お客さま相談フォームのようなアドレスでした。さっそく、 そこにメールしたのですが、1週間以上たってもまだ回答は来ていません

 Aさんがトラブルに遭ったという配送業者・株式会社T.M.Gの本社にAさんの一件も含めた配送トラブルについて問い合わせたところ、

「回答は控えさせていただきます」(総務課)

 とのことだった。

 こうしたトラブルは今後、改善されていくのだろうか。流通ジャーナリストの渡辺広明氏に話を聞いたところ、アマゾンとデリバリープロバイダの連携不足を指摘した。

「体制が整っていないということでしょう。しかし、お客さんにとってはそうした事情は関係ありません。現在問題になっていることを早く改善しなければならないというのは、間違いありません」(渡辺氏)

 ほかの配送業者と同じくらいのサービスレベルに到達するには、時間がかかるようだ。

「数年前までは、大手運送業者のサービスレベルはヤマト運輸が頭ひとつ抜けていましたが、今は同等レベルのサービスに追いついています。デリバリープロバイダも、アマゾンとの配送業務がさらにきっちりした仕組みになり、マニュアルが整備されていくことが前提ですが、サービスレベルは早晩追いついてくると思いますよ

 配送トラブルを回避する方法としては、コンビニ受け取りが有効だという。

「早期に受け取りを希望しないのであれば、11日間は取り置きしてくれます。コンビニ受け取りできない商品もありますが、中身も見えず店員に知られることもありませんし、家に配達されることに抵抗がある人でもストレスを感じず受け取ることができます。家に帰るまで持ち運ぶなどの手間はありますが、トラブルは防げます」(渡辺氏)

 デリバリープロバイダの問題について、アマゾン広報部にも問い合わせてみたが、

「アマゾンの配送パートナーはいくつかおりますが、各配送パートナーと協議しながらお客さまに最高のサービスを提供できるように努力してまいります」(広報部)

 と、具体的な対策についての回答はなかった。

 便利さが売りなだけに、顧客へのあいまいな“不在”対応続出は解消してほしいのだが……。