忙しい、料理は面倒、だけど健康でいたい……。そんな人に朗報です。『ひとり暮らしビジネスマンのための食事と健康大改善』(クロスメディア・パブリッシング)では、多忙なビジネスパーソンでも簡単に実践できる食事の栄養管理法を掲載。料理センスがなくても、道具がなくても大丈夫。簡単レシピや正しい食の知識があれば、仕事パフォーマンスを劇的にあげられます。本記事では本書より、安い・時短・栄養たっぷりと三拍子そろった簡単ごはんの作り方をご紹介します。
具沢山の豚汁

鍋いらず、 お椀一杯でつくれる味噌汁&豚汁

 味噌汁というと、お鍋を持ってきて、具材を切って……、めんどうだなあと思う人もいることでしょう。でも実は、ハサミとお湯さえあれば、即席味噌汁ができてしまうのですよ。

 まずお椀に、普通のネギより少し細い万能ネギをハサミで切って入れ、乾燥ワカメと味噌を入れます。そしてお湯を注ぐだけ(電子レンジでチンしても大丈夫です)。カップラーメンとほぼ同じ要領で、おいしい味噌汁ができあがります。

 味噌はぐつぐつ沸騰させたり、作り置きすると香りが飛んでしまうので、この方法だとかえって香り高くなるのです。

 手間を省いても、おいしくて栄養あるものは食べられます。豆腐を崩してお椀に入れて味噌汁を作るのも良いですね。多少温度が下がってしまいますが立派な味噌汁です。

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 また、人気の高い豚汁も、思っているより簡単にできます。具材は冷蔵庫に残っているものでOK。本書に載っているレシピを実践して野菜があまったら、豚汁にしてしまいましょう。豚汁はつくりおきしてあたため返してもおいしさが落ちません。

 材料は、大根、玉ねぎ、豆腐、にんじんなどを中心として、こんにゃくやごぼう、いも類(里芋、じゃがいもなど)があれば入れます。あとは豚肉。材料を適当な大きさに切って、軽く油でいため、水を入れて5~10分煮たら、味噌を溶かしいれるだけ。

 タンパク質と野菜がとれるので、ご飯と一緒に食べればそれだけで立派な献立となります。

 夜、仕事で帰宅後の夕食が遅くなってしまう人は、職場でおにぎりなど炭水化物を先に食べます。これは夜7時~8時ごろが望ましいです。その後、家に帰ってきて、この豚汁をチンして食べる。これだけで、しっかりと栄養のバランスがとれます。満腹感もあるので、満足度も高いおすすめの一品です。

蒸し料理は簡単、そしてヘルシー

【超おすすめ!】 100円グッズで蒸し料理

「蒸す」というと、「五法」の中でも「揚げる」の次にハードルが高いイメージがある調理法。「焼く」「煮る」「生」はみなさん実践されていますが、「蒸す」は意外と、おざなりにされています。

 けれど、蒸し料理は思っていたより簡単。 10分でできますし、必要なグッズも100均で揃ってしまいます。

 煮たり焼いたりすると野菜からはビタミンが失われがちですが、蒸すと栄養素は野菜の内側に閉じこもります。栄養素が失われず、油を使わないのでヘルシーです。

 また、買ったまま放っておいてクタッとしてしまった野菜より、買ってすぐ新鮮なうちに蒸して、保存しておいた野菜の方が、栄養があります。「蒸す」という調理法は、よいことづくめです。

 まず、お手持ちの鍋に、100均で買ってきた板状で穴が開いた蒸し器をセットして、水を溜め、その上に野菜を載せます。キャベツは数分で完成。生でも食べられる野菜ですしシャキシャキ感があった方が良ければ沸騰してから2~3分でおいしく食べられます。

 一口大に切った根菜は沸騰してから10~15分程度でやわらかくなります。水を切る必要もないので、茹でるよりもかなり楽ですね。にんじん、じゃがいもなど根菜類は、レンジでチンするとあまりうまみが出ないのですが、蒸すとホクホク感が出て、うまみが増します。

 蒸し器ではなんでも調理することができますが、おすすめなのはキャベツ。1個を4分の1程度に切って蒸し器に載せるだけで、いい感じに甘味が出ます。味噌やポン酢をかけるだけで、立派な副菜になりますよ。

 鰹節を載せてもおいしいです。多少の油は入っていますが、市販の胡麻だれやマヨネーズなどもおいしいのでおすすめです。おつまみにもよいですね。

 また、鶏肉を野菜と一緒に蒸して、ネギ塩だれをかければ、おかずが一品出来上がります。豚肉にすれば豚しゃぶになります。たれは、ごまだれ、ポン酢などをはじめとして、味噌とマヨネーズを混ぜて温野菜に載せるのもおすすめです。

 一時期ブームになった「食べるラー油」なども個人的には好きです。ごまだれとラー油を混ぜると坦々麺のような味になったりなど、アイディアを出しては実践するのは楽しいことです。スーパーのドレッシングやタレの売り場に行くと、ものすごく種類が豊富なので選ぶのも楽しいでしょう。

卵は栄養が豊富です

忙しい朝は卵がオススメ。即席味玉の作り方

 卵は、タンパク質が良質でその他の栄養素も豊富な食材です。あらゆる料理に少しずつ入っていることが多いので、卵料理を食べるとどうしても 2個くらい食べてしまうのは致し方ないのですが、毎日3個以上となるとコレステロールなどを多くとり過ぎてしまいます。

 ですが、今は血中コレステロール値が少しくらい高くても問題ないということで、この値があまり問題視されなくなってきています。コレステロールは悪だ、というイメージが薄れてきているのです。

 食品中に含まれるコレステロールをとっても、血中のコレステロールがダイレクトに上がるわけではないので、忙しい朝など、卵を上手に取り入れると良いと思います。

 スクランブルエッグ、目玉焼きなどはフライパンに卵を載せておくだけでできる鉄板メニュー。それに加えておすすめしたいのが、ゆで卵の作り置きです。調理が面倒な人は、卵をワンパック買ってきて一気にゆでてしまいましょう。

 細菌の繁殖を考えると、できれば食べる直前に殻を剥く方が良いのですが、幾つか殻もむいてタッパーに入れておけば、朝ごはんを準備する時間がない時に食べたり、サラダに載せたりできます。

 さらに、ゆで卵の活用のバリエーションとしては、「味玉」があります。 よくラーメンのトッピングにある、あれです。 味玉は、ビニール袋に2倍~3倍濃縮のめんつゆとゆで卵を一緒に入れて、冷やすだけ。2~3時間で味が付きます。半熟卵でつくると、とてもおいしくできます。

赤身の魚がオススメ

切り身の魚はフライパンに載せるだけでいい

 ごはん、味噌汁の作り置きが家にある時は、魚の切り身を買ってきてフライパンで加熱するだけでかなり立派な定食がつくれます。

 色々な魚を選んでいただきたいですが、その中でも赤身の魚がおすすめです。それらの魚が赤いのは、見た通り、血液が含まれているから。鉄分が豊富なのです。魚ではなく肉でも、鶏肉→豚肉→牛肉の順で肉が赤くなっていきますが、実際に鶏肉にはあまり鉄分は含まれていません。

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 鉄分不足は女性に多いと言われますが、男性でも痩せ気味の方、BMI数値が正常値内でも、低めの値の方は鉄分不足のことがありますので注意してください。鉄分が足りないと、血液がうまく全身にまわらなくなり、脳に酸素が運ばれずに集中力が落ちたり、うまく決断できなくなったりします。

 まさにコンディションに影響するということです。カツオ、マグロは頻繁に食卓に取り入れた方がよいでしょう。

 調理法に関して、お肉はしっかり火を通す必要がありますが、魚は、刺身でも食べられるので焼け具合にこだわる必要はありません。逆に、火を通しすぎるとあまりおいしくないので、サッと焼き、軽く火が通る程度でよいのではないでしょうか。

 お肉の調理より短時間で焼けます。サッとしょうゆを垂らしたり、塩コショウで味を調えるだけでおいしく食べられます。

 また、鉄分の補給とは別の理由でも魚は優秀です。30代以上になるとだんだんと血液が濃く、ドロドロになっていき、生活習慣病の原因になりますが、サバ、イワシ、マグロなどの魚には血液をサラサラにする効果があるのです。


松村和夏(まつむら・わか)OL経験やオーストラリア留学を経たのち、女子栄養大学へ入学。管理栄養士免許、調理師免許、食生活アドバイザー等、食に関する資格を取得。その後、料理教室にて講師として勤務するかたわら、料理研究家として活動。2011年より料理教室「広尾料理倶楽部」を主宰。モデルやタレントなど芸能人も多く通い、予約がとれない超人気料理教室として知られる。また、野球、サッカーなど超一流スポーツ選手の栄養指導を行う。著書に『旦那さんごはん』(ワニブックス)、監修書に『強いカラダ・ココロ・アタマをつくる はたらく人のコンディショニング事典』(クロスメディア・パブリッシング)など。